【2月28日 AFP】ケニア政府は、中国伝統薬の製造に使用される皮を生産するためにロバを殺すことを禁止した。同国の農畜水産相が27日、明らかにした。ロバ皮の生産をめぐっては、残酷で必要不可欠でもない上、アフリカ大陸内のロバの個体数を著しく減少させているとして、動物愛護活動家らが非難していた。

 ケニアのピーター・ムニャ(Peter Munya)農畜水産相はAFPの取材に対し、「転売するためにロバが盗まれる事件が増え、禁止を求める請願があった」と説明した。農作物の生産や水の運搬にロバを使っている農家で、ロバの盗難事件が多発し、「大量の失業者」が出ているという。

 禁止法は今週施行されたが、ロバ肉の販売を手掛けている食肉処理場4か所には、業務停止まで1カ月の猶予が与えられた。

 ロバの皮は、中国の伝統薬で血行を良くし、老化や精力増強などに効くとされる「阿膠(あきょう)」と呼ばれる膠(にかわ)を作るために中国へ輸出されている。

 かつて皇帝の保存食とされていた阿膠は、現在では急増している中国の中流層の人々に高い人気がある。(c)AFP