【2月27日 東方新報】日本政府は26日、新型コロナウイルスの感染拡大による肺炎の抑制のため、大規模のイベントについて今後2週間は自粛するよう要請した。しかし、中国ではこれよりも前に、岡山市の西大寺観音院(Saidaiji Kannonin)で行われた「裸祭り」や各地のマラソン大会について、「日本が第2の武漢(Wuhan)になる!」「日本人はウイルスが怖くないのか」と驚きの声が上がっていた。

 中国のネットメディア網易(NetEase)は16日、「超濃厚接触! 日本で1万人の裸祭り 感染拡大の懸念」という見出しで報じた。岡山市で15日夜に行われた西大寺会陽(裸祭り)について、1万人の男性がふんどし姿となり、福を呼ぶ宝木(しんぎ)を奪い合う様子を伝えた。環球時報(Global Times)や新京報(The Beijing News)など多くのメディアも一斉に報道。「裸祭りは五穀豊穣(ほうじょう)や子孫繁栄を祈願するもので、500年以上の歴史がある」「今年は会場に消毒液やハンドソープが用意された」と伝えつつ、「感染が拡大しないか、日本でも懸念する人もいる」とした。

 これに対し、中国のネット上で反応は「まるで日本の『万家宴』だ。『百歩亭』より恐ろしい」というものだった。

 これは、武漢市の百歩亭(Baibuting)地区で1月18日に行われた伝統行事「万家宴」のことを指す。当時は新型ウイルスが人から人へ感染すると認識されておらず、住民が手作りした1万種類以上の料理を4万世帯の人々が味わった。中国当局が人から人への感染を認めたのは2日後の1月20日。それだけに1万人が密集した裸祭りに「武漢の教訓を学んでいない」「日本も手遅れになる」という声が上がった。

 さらに驚きを与えたのが翌日の16日で、東京、愛知、大阪など10か所以上でマラソン大会が予定通り行われるとして、中国メディアがこぞって「リスク恐れない日本人 1日でランナー50万人以上が参加」と報じた。中国では多くのマラソン大会が延期・中止となっていた。

 中国では、マスクをしないで外を歩くだけで空中から監視しているドローンに注意され、やむなく行列につく場合も5メートルは間隔をあける注意を払っている。

 こうしたことから、中国のネット上では「マラソンをするなら、せめて全員5メートル間隔で走ったらどうか」「これが死を恐れぬ日本の武士道精神なのか」という笑えないジョークや、「2週間後のニュースを見るか。どうなっていることやら…」「こんなことをしていたら、東京五輪ができなくなるよ」という心配の声も多い。また、「日本政府は武漢市より対応が鈍い」「安倍晋三(Shinzo Abe)首相の進退問題になるのでは」という書き込みもある。

 しかし、日本でも市中感染とみられる患者が増え、死者も出るようになり、この数日で急激にイベントの中止が決定している。3月1日に行われる東京マラソンでは、3万人以上の一般ランナーの参加を取りやめた。

 加藤勝信(Katsunobu Katou)厚労相は20日、「感染拡大防止の観点から、イベント主催者は開催の必要性を改めて検討してほしい」と記者会見で呼びかけたが、一方で「現時点で政府として一律の自粛要請を行うものではない」とも付け加えた。

 中国では新たな感染者の数が減少し始め、出口のないトンネルにようやく光が差してきたような状態になりつつある。そのため中国のネット市民からは「日本の政府、自治体、民間団体が中国に多くの支援物資や励ましを送ってくれた。われわれが日本を応援することにならなければいいが…」という声も出始めている。(c)東方新報/AFPBB News