【2月6日 東方新報】「中国人は受けた恩を忘れない。今こそ日本に『謝謝(ありがとう)』と言おう」

【編集部おすすめ】日本からの支援物資に書かれた8字、中国で感動呼ぶ

 1月31日、中国共産党機関紙「環球時報(Global Times)」のニュースサイトに、こんなタイトルの長文記事が掲載された。新型コロナウイルスによる肺炎が流行する中、日本の官民にわたる中国への支援を感謝したものだ。

 環球時報といえば、日本政府に対して強硬な論調の記事がよく掲載されるメディアとして知られる。その異例ともいえる表明は、「見えない敵」新型肺炎に苦しむ中、隣国から届けられた「恩」に、中国の人々が素直に感謝している心情が表れている。

 記事では、日本政府が武漢市(Wuhan)在住の邦人を帰国させるため1月28日夜に政府チャーター便を運航した際、大量のマスクや手袋などの支援物資を運んだことなどに触れ、「安倍晋三(Shinzo Abe)政権は各国の中で最も適切、明確に支援を表明している」と称賛。

 さらに、1979年から武漢市と友好都市の関係にある大分市が1月27日にマスク3万枚などを送り、その箱に「加油(がんばれ)武漢」と中国語で書いたことや、イトーヨーカ堂(Ito Yokado)がマスク100万枚を無償で送ったことに触れ、「日本の官民の支援に、中国では感動の輪が広がっている」とたたえた。また、「日本国内でも感染者が増えているが、日本の医療機関は日本人と外国人を全く平等に治療している」と強調している。

「雪中送炭」。中国版ツイッター(Twitter)「微博(Weibo)」では、そんな中国の成語もよく見かける。「雪の降る寒い時に炭を送る」。人が最も困っている時に必要な物を送って助けるという意味だ。

 東京や大阪のドラッグストアが店頭に「加油中国 加油武漢」「愛心口罩(思いやりマスク)あります」と中国語で書いた紙を張り出した写真が転載されたり、日本各地の地方自治体やNPOが支援物資を送っているニュースが紹介されたりするたび、「これはまさに雪中送炭だ」「心から感謝」と書き込みが殺到し、次々と「いいね」が付けられている。

 一方、日本のことわざには「情けは人のためならず」がある。「人に善行をほどこせば、その恩恵はいずれ自分に返ってくるのだから、誰にでも親切にせよ」という意味だ。

 広島県は1月31日、友好提携関係にある四川省(Sichuan)に8万枚のマスクを寄贈した。「2018年の西日本豪雨で四川省から広島県に義援金を送ってくれた恩返し」といい、善行のキャッチボールが行われている。