【2月17日 AFP】ウガンダの学生だったリネッテ・キルンジ(Linette Kirungi)さん(27)は大学の授業に向かう途中、背後で足音を聞いた。次に顔に液体がかかるのを感じると、燃えるような痛みに襲われた。

 キルンジさんは元恋人からのプロポーズを断ったばかりで、元恋人はキルンジさんに酸をかけて仕返しをしたのだった。

「叫んで倒れ込んだ」「痛すぎた。皮膚がはがれていった」とキルンジさんはAFPに語った。

 酸は安価で、自動車用バッテリーに使われたりすることから手に入りやすい。だが、皮膚だけでなく、骨に届くまで溶けることもある。

 現在、キルンジさんは同国で酸攻撃の被害者を支援し、酸攻撃の加害者が容易に裁きから逃れられる法の抜け穴をふさぐ活動をしている。

 ウガンダでは2018年、42件の酸攻撃が非営利団体「End Acid Violence」に報告された。犯行の動機は嫉妬やパートナー間のけんかなどが挙げられている。

 活動家たちは、報告されていない事例がもっとあるとし、政府が酸攻撃を「重罪」であると明言し、警察が措置を講じるよう強く求めている。

 ウガンダのエフライム・カムントゥ(Ephraim Kamuntu)法相は、酸攻撃を撲滅する意志を示し、「この種の犯罪を抑える新法が整うよう…われわれは努力している」と語った。

 しかし、キルンジさんの元恋人はいまだに逮捕されていない。被害者たちが事件を追い続けない限り警察は関心を失うが、被害者たちは入院し、その痛みに苦しんでいるとキルンジさんは指摘する。「集中治療室にいると、起きていることさえ分からないこともある」「出向くことができなければ、警察はその事件を終結させる」と語った。

 酸攻撃の被害者たちは数か月間入院することもあるが、失業したり、最終的にはホームレスになったりすることもしばしばあるという。

 同じく酸攻撃を受けたジェニファー・ムテシ(Jennifer Mutesi)さんは、「人々に見られるのが怖くなるものだ」と話す。

「被害者を見ると、人々は怖がる」「その痛みと容姿のせいで涙が出るものだ」 (c)AFP/Grace MATSIKO