【2月11日 AFP】米ニューヨークのアパレル産業が集まるガーメント地区(Garment District)の残り少なくなった工場に、ミシンの音が響き渡り、アイロンの蒸気が立ち込める。ここではアジア系とラテン系移民を中心とした数千人が働いている。

 ニューヨーク・ファッションウィーク(New York Fashion Week)の始まる数週間前から、これらの工場はショーのための高品質な衣服の制作に忙しい。だが、いつまで存続できるのだろうか?

 タイムズスクエア(Times Square)からほど近い高層ビルに囲まれたこの小さな地区は、全盛期の1950年代には数十万人が働いていたが、その数は今では95%も落ち込んでいる。

 法外ともいえるコスト増により、多くの工場が海外へ移転した――移転先は中国ではなく、パリ、ミラノ、ロンドンだ。これら欧州の都市は、ニューヨークよりもファッションウィークの拠点として名高く、政府からの支援も手厚い。

 NPO「ガーメント地区アライアンス(Garment District Alliance)」によると、この地区で服やボタン、その他のファッション用品を製造する企業は約400社に上り、約5000人が働いているという。

「昨年から今年にかけて、多くの企業が撤退した。何社か操業を停止すると、ドミノのように広がった」と、両親と共同でフェラーラ・マニュファクチャリング(Ferrara Manufacturing)を所有するガブリエル・フェラーラ(Gabrielle Ferrara)さん(29)は語る。

 フェラーラさんの両親は30年前に同地区に衣料品工場を設立した。だが、フェラーラさんはこの地区が、衣料品の中心地として生き残ることはできないだろうと考えている。

 フェラーラさんは、2020年最初のニューヨーク・ファッションウィークの3週間前までに、最大75人の縫製職人を雇用した。