春節休暇明けの工場再開に試練、最大のネックはマスク調達
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【2月12日 東方新報】中国では3日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国務院の通達で2日間延期された春節(旧正月、Lunar New Year)連休が明けた。しかし、全国各地の行政機関がさらに約1週間の延期を通達し、一般の商店や民間企業は10日以降に始業するところが大半となった。特に製造業にとって、操業再開にはさまざまな困難が予想され、その一つがマスクの調達だという。
取材に応じた、上海市、福建省(Fujian)、浙江省(Zhejiang)など6地域で工場を経営するメーカー14社(うち日系企業10社)によると、共通の大問題は「従業員の休暇明け再出勤」「輸送・物流」で、最も頭が痛いとされたのは「衛生管理規定(中でもマスク)」だった。
各地の行政機関には「新型肺炎対策応急指揮部」が設置されており、春節明けの工場再開について指令書が出されている。
福建省福州市(Fuzhou)の応急管理部と福州市自由貿易試験区の指令書を見ると、工場再開の必須条件がいくつも定められている。中でも、マスク着用については「使い捨ての医療用マスクまたはN95医療用マスクを使用し、4時間経過で交換」と記されている。
これを完璧に順守するとすれば、1シフト8時間勤務で、従業員1人につき2枚を支給しなければならない。マスク欠乏の現状で、これは製造業にとって障害となる。
実際、14社のうち、4日時点で1か月以上の工場操業が可能なマスク備蓄枚数を確保できた企業は上海、福州で各1社だけだった。それ以外の企業は一般マスクを含め1~2週間分以下の枚数で、しかも一部はまだ輸送中の状態だった。また、非日系企業の中にはマスクの消毒再利用を申請しようとしているところもあった。
中国が全国的に同様の状況だとすれば、今後すぐに起きる問題は、生産現場の稼働率の大幅な低下による工業製品、部品の供給不足と経済の停滞とみられる。
上海労働組合総本部監修の「労働報(Labor Daily)」の2日付の記事に、「マスクの節約使用、再利用法、場合により着用が省略できる」という医師の指導が掲載された。また、中国工業・情報化部の消費品工業司が4日、「第一線の医療従事者にN95などハイスペックマスクを優先供給し、それ以外は一般医療用などケース・バイ・ケースで」と指摘、やみくもにN95などのハイスペックマスクを求める動きにくぎを刺している。
製造業でも、業種によっては機械化が進み、人が密集しない職場もある。不特定多数が往来する公共施設より相対的に安全度が高い場合もある。
単純な一律管理だけではなく、ケース・バイ・ケースの細かな管理監督で生産力の確保が可能かどうか、各地の第一線の行政機関と企業はともに正念場を迎える。(c)東方新報/AFPBB News