【3月8日 AFP】米俳優・監督のクリント・イーストウッド(Clint Eastwood)さんとの共演、SF映画の名作『PLANET OF THE APES 猿の惑星(Planet of the Apes)』への出演、あるいは米歌手の故マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)さんのお気に入りだったなど、かつてエンターテインメント界で活躍したチンパンジーやオランウータン53匹が、米フロリダ州にあるユニークな施設で隠居生活を送っている。

 人間の手で育てられ、自然環境で生き抜くための基本的なすべを持たない彼らは、餌を手に入れる方法を知らず、母親になっても子どもの世話をすることができない。

 そのため、ハリウッドや研究施設での役目を終えたり、あるいは成長して力が強くなり過ぎ、セレブな飼い主の手に負えなくなったりした類人猿たちには、他に行く場所がない。

 フロリダ州にある大型類人猿センター(CGA)は、西半球で唯一正式な認可を受けたオランウータンの保護施設であり、北米に9か所しかないチンパンジー保護施設の一つでもある。

 昨年11月に入所したばかりの33歳の雌のオランウータン「サンドラ」は、うつ病の治療のためアルゼンチンからやって来た。

 サンドラは今、この施設で思い切り甘やかされている。「たくさん遊んでいる。体調は順調に回復している」。CGAの創設者であるパティー・ラーガン(Patti Ragan)氏は言う。「彼女には今、数頭のオランウータンを引き合わせている。一番興味を持っているのは雄のジェスロのようだ」「間もなく、2頭が同じスペースにいられるように、ドアを開放するつもりだ。うまくいくことを願っている」

 48歳の雌のオランウータン、ポピは8歳の時、映画『ダーティファイター(Every Which Way but Loose)』にイーストウッドさんの相棒役として出演。続編の『ダーティファイター/燃えよ鉄拳(Any Which Way You Can)』でも再び起用された。その後、米ラスベガス(Las Vegas)を拠点に活躍していたが、訓練士から虐待されていたことが隠しカメラの映像で発覚し、引退した。

 23歳の双子のチンパンジー、ジェイコブとジョナは、ティム・バートン(Tim Burton)監督の2001年の作品『PLANET OF THE APES 猿の惑星』に出演。子どもの頃、ジャクソンさんにかわいがられていた雄のチンパンジーのバブルスは、今では37歳になり、体格も良く群れのリーダーとなっている。

 ここにいるサルたちは、元ハリウッドスターだけではない。かつてサーカスや研究所にいたり、子どもの頃に珍しいペットとして売られたりしたサルたちもいる。成長して飼い主が世話をできなくなり、窮屈なおりや車庫で飼われていた例もある。