【3月24日 AFP】インドネシア・ボルネオ(Borneo)島の西カリマンタン(West Kalimantan)州で、木製の狭いおりに入れられてペットとして飼育されていた、ボルネオオランウータンの子ども「ウトゥ(Utu)」と「ジョイ(Joy)」が、環境活動家らによって救出された。この2週間で救出されたボルネオオランウータンはこれで計3頭。

 2頭が入れられていたのは縦1.5メートル、横1メートルの木製のおり。5年間飼われていたウトゥは、救出した活動家の一人にしがみついていた。もう1頭は同州の別の村で保護されたトマン(Tomang)。トマンは、果樹を荒らしたとして村民の怒りを買い、捕獲されていた。

 ウトゥとジョイはこれから数年かけて自力で生きていくすべを身に付けた後、野生に戻されることになっている。トマンは既にグヌンパルン国立公園(Gunung Palung National Park)に放された。

 オランウータンは絶滅の危機にひんしているが、インドネシアではオランウータンを害獣とみなす農民に殺されたり、ペットとして売ろうとする密猟者に捕獲されたりする事件が相次いでいる。

 インドネシアの警察当局は今年2月、1頭のオランウータンに空気銃の弾130発余りを浴びせて殺した疑いで男4人を逮捕。また別の事件では、オランウータンを銃で複数回撃った後に頭部を切断したとして、ゴム園の作業員2人がボルネオ警察に逮捕された。

 動物保護団体は、森林伐採の問題に取り組まない限り、ウトゥやジョイのような例は後を絶たないだろうと述べている。

「民間人や自治体だけでなく、オランウータンの生息地周辺に農園を所有している企業なども含め、すべての利害関係者と連携していく必要がある」と、英国に本部を置く動物保護団体「インターナショナル・アニマルレスキュー(International Animal Rescue)」のカーメル・L・サンチェス(Karmele L. Sanchez)氏は述べている。(c)AFP