【2月4日 AFP】中国で、スイカズラなどの植物を成分とする液状の伝統薬「双黄連(Shuanghuanglian)」が新型コロナウイルスの治療に効果があると科学者らが明らかにしたことを受け、人々がこの薬を求めて薬局に殺到している。ただ、薬の効力を疑問視する声も上がっている。

 中国国内では、重症急性呼吸器症候群(SARS)のウイルスに類似する新型コロナウイルスに感染し、死亡した人の数が増加し続けている。

 双黄連の人気のきっかけは、強い影響力を持つ国営新華社(Xinhua)通信による1月31日の報道だった。新華社は、同国の権威ある研究機関、中国科学院(Chinese Academy of Science)が、双黄連の服用により新型コロナウイルスを「抑制できる」ことを発見したと伝えた。

 当局は市民に対し感染拡大防止のため人が集まる場所には行かないよう呼び掛けているが、インターネット上に投稿された映像には、双黄連を買い求めているとされる人々が夜間にマスクをして薬局の外に並ぶ様子が捉えられている。

 オンラインストアや実店舗では双黄連の売り切れが続出したが、薬の有効性については中国版ツイッター(Twitter)「微博(ウェイボー、Weibo)」で賛否が分かれた。

 騒ぎを受けて国営メディアは1日、より慎重な報道姿勢に転換した。新型コロナウイルス封じ込め対策を率いる科学者の一人は中国中央テレビ(CCTV)とのインタビューで、双黄連の副作用について警告。共産党機関紙の人民日報(People's Daily)は、識者の見解として、専門家と相談せずに伝統薬を服用しないよう呼び掛けた。(c)AFP/Jing Xuan TENG