【1月27日 AFP】17年前に発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)の世界的流行は、野生動物を食用にすることに対する警告として受け止められるべきだった。だが、中国・武漢(Wuhan)で発生した新型コロナウイルスの流行で、中国ではいまだ野生動物を食用にする習慣が続いており、人類の健康に対する危険性が増加していることを浮き彫りにした。

 2002年から03年にかけ中国と香港で数百人の死者を出した、コウモリとハクビシンを自然宿主とするSARSと同様、新型コロナウイルスについても動物の食用取引によってヒトに感染したと考えられている。新型コロナウイルスでは、これまでに約2000人が感染したと考えられている。

 新型コロナウイルスの感染源についてはいまだ特定はされていないが、武漢中心部の海鮮市場で不法に売られていた野生動物に由来するとみられている。この市場では、ハクビシン、ネズミ、ヘビ、オオサンショウウオ、生きたオオカミの子どもなどの取り扱いがあった。

 野生動物の肉の取引に加え、人が野生動物の生息地に侵入していること、世界中で行き来が盛んになったことによって、動物由来のウイルスが簡単に広がるようになっていると、感染症予防に取り組むNGO「エコヘルス・アライアンス(EcoHealth Alliance)」のピーター・ダザック(Peter Daszak)氏は指摘する。

 また、ダザック氏も参加する感染症予防を目的とする「グローバル・バイローム・プロジェクト(Global Virome Project)」は、自然界には未知のウイルスが約170万種存在し、そのおよそ半数が人類にとって有害だと推測している。

 ダザック氏は、同プロジェクトによる調査結果は、毎年約5種類の新たな動物由来の病原体がヒトに感染していることを示唆していると述べる。

 ダザック氏は、「今後は、感染症の大流行がもっと頻繁に発生することになる。それが普通となるだろう」と述べ、「ウイルスの宿主である動物への接触がますます増えている」と指摘する。