■フリだけの企業は暴かれる

 ファッション関連企業大手24社は昨夏、先進7か国(G7)首脳会議(サミット)で、気候変動との闘いを目的とした「ファッション協定(Fashion Pact)」に署名した。だが、ディオールを傘下に置く高級品小売り世界最大手の仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンは同協定への参加を拒んだ。一方、同社の最大のライバルであるケリング(Kering)は協定に参加している。

 世界的富豪であるLVMHのベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼最高経営責任者(CEO)は昨年9月、持続可能性に関する特別アドバイザーにマッカートニー氏を指名した。だがその後、トゥンベリさんを「天変地異説に完全に屈している」と批判している。

 一方、グッチ(Gucci)とサンローラン(Saint Laurent)を傘下に持つケリングは、二酸化炭素の排出量と吸収量を同等にして排出量を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」を実施し、今後5年でサプライチェーン上における温室効果ガスの排出量も半減させることを目指すと表明している。

 ボストンコンサルティンググループ(Boston Consulting Group)で高級品のアナリストを務めるジョエル・ヘイザン(Joel Hazan)氏は、ファッション業界は「転換点を超えた」と指摘。持続可能性に取り組むフリをしているだけの企業は暴かれることになると警告している。(c)AFP/Fiachra GIBBONS