【3月9日 AFP】中央高地（Massif Central）を吹き抜ける猛烈な風、極寒の冬、最寄りの街までは車で長時間かかり、公共の交通機関もない──シャンボンルシャトー（Chambon-le-Chateau）村は、住民からも「世界の果て」と呼ばれている。

　だが、フランスで最も人口密度が低い中部ロゼール（Lozere）県に位置するこの村は、難民希望者の受け入れによって共同体が活性化するという成功物語を実現した。

　フランスでは大半の地域で収容施設が不足し、難民に対する反発が広がっている。だが、過疎化したシャンボンルシャトーは、過去15年間にわたり難民希望者を積極的に受け入れてきた。今では300人強の住民の20％を難民希望者が占めている。

　かすみが立ち込めるある朝、親たちが村の小学校へ子どもたちを送って行く。シリアやスーダン、コートジボワール出身の親たちは、キラキラ光るアフリカの布を身にまとい、子どもの手を引いて学校に歩いて行く。一方、フランス人の親たちは車に子どもたちを乗せている。

　この二つのグループが交わることはほぼない。だが、いったん学校に入ると、子どもたちは一緒になり楽しそうに遊んでいた。

　住民が都会に移住したため、周辺地域の学校の多くは廃校に追い込まれた。だが、シャンボンルシャトーの小学校は児童数46人で4クラスあり、うち1クラスは16人のフランス語を母語としない子どものためのクラスになっている。

　地元住民のバレリーさんは「8歳の息子が、他の国の子どもたちと出会える良い機会だ」と述べた。

　教師のマリーアメリー・パポン（Marie-Amelie Papon）さんは、子どもたちは分け隔てなく過ごしていると話す。パポンさんが受け持つクラスでは、コートジボワール、ギニア、スーダン、シリア出身の子ども11人を含む19人が学んでいる。