【1月16日 AFP】前例のない大規模な森林火災に見舞われているオーストラリアで、「恐竜の木」の通称で知られる貴重なウォレマイ・パインの世界唯一の原生林が、特別消防部隊の極秘作戦により焼失を免れていたことが分かった。豪ニューサウスウェールズ(New South Wales)州が15日、明らかにした。

 ウォレマイ・パインは恐竜が闊歩(かっぽ)していた先史時代から姿を変えずに生き残ってきた植物で、2億年以上前に既に自生していたことが化石から判明している。1994年に豪シドニー北西部の世界遺産ブルーマウンテンズ(Blue Mountains)の渓谷で発見されるまで、絶滅種と考えられていた。

 野生のウォレマイ・パインは現在、残り200本に満たない。自生地域は、訪問者による環境汚染から木を守るため非公開となっている。

 ブルーマウンテンズは昨年から数か月にわたって続く森林火災で大きな被害を受けている地域の一つで、昨年末にはウォレマイ・パインの原生林にも火の手が迫った。そこで消防隊は、延焼を防ぐ難燃剤を空から原生林の周囲に散布し、さらに消防士らの特別部隊がロープで渓谷に下りて散水装置を設置したという。

 ニューサウスウェールズ州政府のマット・キーン(Matt Kean)州環境相は15日夜、森林火災で焦げ付いた木もあったが、原生林は焼け残ったと発表。「前例のない環境保護作戦」だったと作戦をたたえた。

 今回の豪森林火災は気候変動によって影響が拡大しているとされる。豪東部各地では16日、待望の雨が降り、住民らはようやく一息ついた。予報によれば雨は今週末まで続く見込み。(c)AFP