【1月16日 AFP】ドイツの検察当局は15日、中国のためにスパイ活動をしていた容疑で3人を捜査していると明らかにした。メディアによると、容疑者の中には元欧州連合(EU)大使も含まれているという。

 ニュース週刊誌シュピーゲル(Der Spiegel)によると、容疑者の1人はドイツの外交官としてベルギー・ブリュッセルの欧州委員会(European Commission)で勤務した後、EU大使として複数の国々に赴任した。他2人は「著名なドイツのロビー会社」で働くロビイストとされる。

 検察当局は容疑者らの詳細を明らかにせず、まだ逮捕はしていないと述べた。一方、警察が15日にベルリンとブリュッセル、ドイツ南東部のバイエルン(Bavaria)州と南西部のバーデン・ビュルテンベルク(Baden-Wuerttemberg)州で、3人に関連した住居や事務所を家宅捜索したとのシュピーゲルの報道内容を認めた。

 シュピーゲルによると、元EU大使とロビイストの1人には、「私的および営利情報を中国の国家安全省と共有」した疑いがかけられている。もう1人は、そうした情報を「共有する意志」を示すにとどまったとみられている。

 主犯格とされる元EU大使は2017年にEUの仕事を辞め、ロビー会社に転職したとされる。その後、他2人をリクルート。同年にスパイ活動を開始したとみられている。

 有罪が確定すれば、中国のスパイ活動が露見した希少な事例となる。(c)AFP/Michelle FITZPATRICK