【12月19日 AFP】(更新)ドイツ・ブンデスリーガ1部のケルン(1. FC Cologne)が、中国国内のサッカー学校の運営から撤退した。同クラブの幹部は、中国では「人権が甚だしく軽視されている」と発言している。

 ケルンは、中国北東部の瀋陽(Shenyang)にある若い選手らを対象にしたサッカー学校の運営を、180万ユーロ(約2億2000万円)で担う予定だった。ケルン市は、北京の姉妹都市でもある。

 同クラブのウェルナー・ウォルフ(Werner Wolf)会長は18日、「現在のスポーツを取り巻く状況に鑑み… われわれはこのプロジェクトを継続しないことを決めた」と明かし、「リソースと優先順位」の見直しがその背景にあると説明した。

 一方、かつて同クラブの会長を務め、現在はファンクラブ会長のシュテファン・ミュラーレーマー(Stefan Mueller-Roemer)氏は地元紙の取材で「スポーツに中国はいらない」と語り、「中国では人権が甚だしく軽視されている」と非難した。

 瀋陽のサッカー学校は、2016年に独中間で結ばれた、両国の知識移転に重点を置いた合意項目の一つで、2021年まで継続される予定だった。

 ミュラーレーマー氏は「中国は、われわれのスポーツのノウハウを吸い上げようとしている。過去20年間、ビジネスの面で同国がやってきたのと同じように。わが国の実業界のトップの一部の考えがとにかく甘いからだ」と訴えた。

 ウォルフ会長は、ミュラーレーマー氏の発言は「私見」であるとして、クラブの立場を反映するものではないと話している。

 また中国側もこれを一蹴。外務省の耿爽(Geng Shuang)副報道局長は19日、「このドイツ人の発言は、ばかげたことばかりだ」と述べた。

 これに先立ち、イングランド・プレミアリーグ、アーセナル(Arsenal)のメスト・エジル(Mesut Ozil)選手が、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)での中国政府によるウイグル人弾圧を強く批判し、大きく報じられている。

 同自治区には、強制収容所の巨大ネットワークが存在し、イスラム教徒のウイグル人に対して棄教や共産党支持を迫り、多数派である漢民族の文化に同化するよう圧力をかけているとの指摘があり、中国に対する国際社会の非難が強まっている。(c)AFP