【1月20日 東方新報】春節(旧正月、Lunar New Year)に向けて、中国の国内外の各地で観光イベントがスタートしている。

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 昨年の春節には、日本の東京タワー(Tokyo Tower)がチャイナ・レッドにライティングされたり、英ロンドンのデューク・オブ・ヨーク広場(Duke of York Square)で獅子舞が踊ったりと、世界各地で春節ムードが盛り上げられたが、今年は中国文化観光部が設立されて最初に迎える春節とあって、さらに中国の伝統文化と海外観光地の融合を展開。一帯一路沿線国56か国を含む133か国396都市で約1500のイベント、展覧会、廟会(縁日、Miaohui)などが展開される予定で、春節を国際的な祝日としてアピールしていく方向だ。

 特に注目なのは、中国式縁日の「廟会」だ。海外の人たちに中国の屋台B級グルメを体験してもらおうと、各国の観光地で廟会を行う予定で、ニュージーランドやハンガリー、オーストラリア、タイ、モーリシャスなどに中国式春節を「輸出」するという。

 国内でも、異なる地方文化の要素と春節観光を融合させたイベントプログラムを展開する。広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)、山東省(Shandong)、上海、江蘇省(Jiangsu)といった地域特有の春節の祝い方を目玉とした観光イベントは、海外旅行客にもより深い中華文化の魅力を体験してもらう機会となりそうだ。

 古代中国の思想家・孔子(Confucius)の故郷、山東省曲阜(Qufu)では、孔府(孔子の邸宅)での年越しイベントが元日からスタート。孔府の独特な年越し儀式、風俗を観光客に体験してもらう。孔子廟を参拝した後は、詩経、礼記などの儒教経典を書き写し、儒教文化を体感できる。また、孔子75代目の子孫で書家の孔祥勝(Kong Xiangsheng)氏に「福」の字などを揮毫(きごう)してもらうこともできる。

 西安市(Xi'an)では、2019年12月31日から大明宮国家遺跡公園で春節イベントをスタート。テーマ化、市場化、国際化といった視点で、歴史文化、伝統行事と現代文化を融合させた「新春大パーティー」を演出する。陝西省(Shaanxi)の地元の太鼓や獅子舞、チャルメラ楽団などの無形文化財の舞台を通じて中国の春節民族文化の息遣いを感じ取ってもらおうという。また唐の都・長安(Chang'an)の昔をしのんで、唐の化粧や服飾体験や唐時代の舞楽鑑賞などもある。

 こうした春節行事と観光の融合を通じて、中国の伝統文化を世界に発信し、またその文化発信がさらなる観光客を誘致することになる。(c)東方新報/AFPBB News