【10月14日 東方新報】中国・浙江省(Zhejiang)嘉興(Jiaxing)にある南湖(Nanhu)は、江南(長江の南)の三大名湖の一つだ。南湖のほとりで60年前から停泊している木造の赤い船「紅船」が今、中国の新たな観光地として注目されている。共産党の第1回代表大会が開催された木造船を模倣してつくられたもので、中国共産党誕生の地であり「中国革命のゆりかご」ともいえる船なのだ。

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 このほど中国建国70周年を迎え、この赤い船が新たな共産党聖地として紅色観光の目玉になっている。しかも、若い世代に人気なのだ。10月1日の建国70周年の国慶節には、観光客が朝から紅船の前にスマートフォン片手に記念写真をとるために行列をなしていた。

 「90後(1990年代)」生まれの観光客、王超(Wang Chao)さんは「母と妻子をつれて青島(Qingdao)からやってきました。革命初期の烈士たちの艱難(かんなん)辛苦に思いをはせると、自分も頑張ろう、今の生活を守っていこうという気持ちになります」「ここに来るまでの大通りなどには、至るところに五星紅旗が翻っていて、愛国情緒に火が付きました。すべての中国人にとって、新中国建国70周年のこの日は、特別な日でした」と興奮したように語っていた。

 多くの観光旅行プラットフォームのデータによれば、革命聖地巡礼旅行が今の若者の間でちょっとしたブームになっている。中国旅行研究院の戴斌(Dai Bin)院長は「『紅色観光』(革命聖地をめぐる観光旅行)といえば、以前は中年の旅行者が主流でしたが、ここ数年は3分の2が35歳未満という統計があります」と言う。

 南湖革命記念館の解説員の趙洋(Zhao Yang)さんは「国慶節休み期間に本当に遠くから紅船を見に来てくれます。今は中国が大変な困難に直面している時期なので、若い人たちはこの革命聖地にやってきて、中国が最も困難に直面した時代を克服した革命世代の先輩たちの精神パワーに触れて自分を鼓舞したいと思うのではないでしょうか」と分析している。

 こうした若者の紅船の人気ぶりを少し離れたところで眺めていた山西省(Shanxi)から妻とともに訪れていた80歳代の老人は「私たち革命世代からすれば、現在の祖国は日ごとに繁栄している。私たちも素晴らしい祖国の大地を見て、初心を忘れずにいたいものです」と感慨深げに語っていた。(c)東方新報/AFPBB News