【1月11日 AFP】火災で激しく損傷した仏パリのノートルダム大聖堂(Notre Dame Cathedral)の屋根の再建をめぐり、同国の建築家団体が、建築資材には金属やコンクリートではなく、昔ながらの木材を使用するべきだと訴えている。

 エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領が、13世紀にさかのぼるノートルダム大聖堂の尖塔(せんとう)を再建する際には「現代的な」要素を加えたいとの意向を表明し、議論が持ち上がる中、8日、議会の公聴会に出席した国内最大の建築家団体の代表を務めるエリック・ウィルト(Eric Wirth)氏は、もともと使われていた木材以外で屋根を再建するのは間違いだと主張した。

 ウィルト氏は、「最も現代的で環境に良いのは木材だ」として、その他の建築資材よりも火災に強く、二酸化炭素(CO2)を閉じ込める働きもあると強調。さらに、「ノートルダム大聖堂は、800年間あそこにある。コンクリートや鋼鉄で造られていたら、現存していなかったはず」「(化学薬品で)防護処理されていたとしても、火災の激しさを考えれば鉄鋼は30分程度で溶け、建物全体が倒壊していただろう」と述べた。

 ノートルダム大聖堂の復元事業の責任者を務めるジャンルイ・ジョルグラン(Jean-Louis Georgelin)元統合参謀総長は、大聖堂の巨大な屋根にはオーク材が使用されるとの報道は木材業界による「ロビー活動」でしかないとして、その内容を否定していた。これに対しウィルト氏は、「この一件でロビー活動のことを話題にするのは、大聖堂に対する敬意が欠けている」と批判。費用は問題ではない、「資金ならある」と主張した。

 大聖堂の再建を願う支援金としてこれまでに集まった額は、計9億2200万ユーロ(約1120億円)に上っている。(c)AFP/Jean-Louis DE LA VAISSIERE, Fiachra GIBBONS