【1月2日 AFP】(更新、写真追加)保釈中に日本からレバノンへ国外逃亡した日産自動車(Nissan Motor)前会長のカルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)被告が、フランスから発給されていた2通のパスポートのうち1通を携帯していたことが分かった。NHKが2日、報じた。

 ゴーン被告はフランス、ブラジル、レバノンのパスポートを所持しているが、ゴーン被告の弁護人を務める弘中惇一郎(Junichiro Hironaka)氏は、3通のパスポートは預かっていると主張していた。しかしNHKの報道によれば、裁判所はフランス発給の2通目のパスポートを「鍵が付いたケース」に入れた状態で携帯することをゴーン被告に認め、鍵は弁護団が保管していたという。

 NHKによれば、日本の出入国在留管理庁にはゴーン被告が日本から出国した記録はないが、同被告はフランスのパスポートでレバノンに入国したとみられている。

 検察と警察はゴーン被告が「何らかの不正な手段」で出国したと判断し、今回の衝撃的な脱出劇について捜査を開始する構えだとNHKは報じている。

 一部の国は、頻繁に渡航するため常にビザの発給を受ける必要がある場合や、紛争当事国に渡航する場合などに、同一国のパスポートを2通所持することを認めている。

■保釈中の住宅を捜索

 検察は2日、東京都内にあるゴーン被告が保釈中に住んでいた住宅を捜索した。当局はこの住宅やゴーン被告が出国前に訪れたとみられる場所に設置された防犯カメラの映像を分析する方針だとNHKは報じている。

 日本政府はこの件でまだ公式な声明を出していない。日本政府はレバノン政府にゴーン被告の送還を求めるとみられるが、日本はレバノンと犯罪人引き渡し条約を結んでおらず、レバノン政府が送還に応じる可能性は小さいとみられている。(c)AFP