【12月29日 AFP】フランスの年金制度改革案に抗議する大規模なストライキで国内の交通機関がまひする中、ストへの支持を表明しようとパリのオペラ座(Opera)前でバレエを披露したダンサーらに対し、仏政府が譲歩案を示した。仏経済紙レゼコー(Les Echos)が28日、報じた。

 レゼコーによると、同国のフランク・リーステール(Franck Riester)文化相と、年金制度改革案の計画を率いるローラン・ピエトラシェフスキ(Laurent Pietraszewski)連帯・保健大臣付 年金担当副大臣は、オペラ座の代表者に書簡を送った。

 AFPが内容を確認した12月23日付の書簡でリーステール氏とピエトラシェフスキ氏は、年金制度改革案が2022年1月1日以降に雇用されたダンサーらに対してのみ適用されるとする案を提示。また退職するダンサーに、職業転換プログラムを提案した。

 定年が一般よりも早いオペラ座のダンサーに関しては、42歳で退職することが可能な特例年金制度がある。この制度は1698年にルイ14世(King Louis XIV)が導入したもので、フランス最古の年金制度の一つだ。

 パリのオペラ座前では24日、ストライキへの支持を表明しようとバレエダンサーたちが「白鳥の湖(Swan Lake)」の一幕を披露。この様子を撮影した映像は今週、瞬く間に拡散された。

 政府は、フランスで最も名高い国立劇団コメディ・フランセーズ(Comedie Francaise)にも書簡を送り、同劇団とオペラ座の代表者らは、来年初めの協議に招待された。

 オペラ座に所属するダンサーらや、コメディ・フランセーズの俳優らはすでに、ストライキの一環として公演をキャンセルしている。

 オペラ座が公開したデータによると、ダンサーのストライキだけで800万ユーロ(約10億円)を超える経済的損失が出ている。(c)AFP