■シモーネ・バイルス/体操

 米国のシモーネ・バイルス(Simone Biles)は、10月の第49回世界体操競技選手権(49th FIG Artistic Gymnastics World Championships)で再び輝きを放ち、5個の金メダルを獲得して世界選手権のメダル数を通算25個に伸ばした。

 大会では二つの難しい新技を披露し、その大技をまねしてけがをする選手を出したくない国際体操連盟(FIG)が、低めの演技価値点を設定したことも物議を醸した。年初には、選手への性的虐待で逮捕された代表の元チームドクター、ラリー・ナサール(Larry Nassar)被告について口を開かなければならなかったが、そうしたつらい1年を勝利で締めくくったバイルスは、2020年夏の東京五輪限りでの引退を示唆している。

■タイガー・ウッズ/ゴルフ

 米国のタイガー・ウッズ(Tiger Woods)は、4月の第83回マスターズ・トーナメント(The Masters Tournament 2019)で11年ぶりとなる米メジャー制覇を果たし、健在ぶりを証明した。

 最終日おなじみの赤のシャツをまとい、フランチェスコ・モリナリ(Francesco Molinari、イタリア)と2打差の2位タイから出たウッズは、最後の7ホールで6人の選手が首位に立つ、あるいは首位で並ぶ混戦の中、唯一最後までプレッシャーに打ち勝ち、マスターズで5度目、メジャー通算15回目の優勝を飾った。残りのシーズンは苦しんだ大会も多かったが、それでも大舞台での最終日の勝負強さを証明した。

■ノバク・ジョコビッチとロジャー・フェデラー/テニス

 7月のウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2019)では、ノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)とロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)の両雄が限界を超えた死闘を繰り広げた。

 試合はウィンブルドンの決勝史上最長となる4時間57分に及んだが、今季から最終セットのタイブレーク制が導入されていなければ、さらに長く続いていた。結果はフェデラーのチャンピオンシップポイント2本をしのいだジョコビッチが7-6(7-5)、1-6、7-6(7-4)、4-6、13-12(7-3)で連覇を飾り、フェデラーの20勝、ラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)の19勝に続く四大大会(グランドスラム)16勝目を挙げた。ここ3年間のグランドスラムの男子シングルスは、このビッグスリーが優勝を独占している。

■日本代表/ラグビー

 ラグビーW杯の日本は、気持ちの良い開催国だった。プレーでは、よく走る精力的なラグビーで大会を盛り上げると、アイルランドやスコットランドを撃破。準々決勝で優勝を果たした南アフリカに屈したものの、史上初となるベスト8入りを達成した。

 試合後のお辞儀も注目を集めた。海外のスポーツ大会で、試合後の後片付けで称賛を集めていた日本のチームとファンは、開催国として迎えたラグビーW杯でもお手本となる姿を示し、大会途中からは、日本にならって観客へお辞儀するチームが他に現れるようになった。

■リンゼイ・ボン/アルペンスキー

 リンゼイ・ボン(Lindsey Vonn)は、現役最終戦となった世界選手権(FIS Alpine World Ski Championships 2019)で銅メダルを獲得し、有終の美を飾った。

 インゲマル・ステンマルク(Ingemar Stenmark)氏が持つW杯最多86勝の記録更新を目指していた高速種目の女王は、体が悲鳴を上げていることを理由に、またしてもけがに泣かされたシーズンを過ごした末、34歳の若さで引退を決断した。

 それでも世界選手権では滑降で3位に入り、通算8個目のメダルを獲得。通算19シーズンとW杯82勝はどちらも女子選手では最多記録となっている。5種目の優勝経験を持っているだけでなく、彼女が出場すると大会はいつも派手に盛り上がった。(c)AFP