【12月31日 AFP】2019年も、スポーツの世界では選手が魅力的なプレーを鮮やかに繰り広げたが、同時にその姿を切り取ったスリリングで、ときに驚くような写真には、スポーツの枠を超えたアスリートの価値が写し出されている。ここではそうした10枚の写真とともに、今年のスポーツのハイライトと言える選手やチームを振り返る。

■ミーガン・ラピノー/サッカー米国代表

 6月から7月にかけて行われた女子サッカーW杯フランス大会(FIFA Women's World Cup 2019)は米国の優勝で幕を閉じ、同国代表のミーガン・ラピノー(Megan Rapinoe)は、優勝の2日後にニューヨークで行われた凱旋(がいせん)パレードで盛大な歓迎を受けた。

 W杯のラピノーは、ピッチの内外で際立っていた。まずはその足で雄弁に語り、チームの主将を務めつつ、大会トップタイとなる6得点をマーク。そしてピッチ外では、性的少数者(LGBT)の権利や男女平等を積極的に主張し、さらに大きな注目を集めた。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領とも対立したが、それでも帰国後には大歓声で迎えられた。

■シヤ・コリシ/ラグビー南アフリカ代表

 9月から11月にかけて行われたラグビーW杯日本大会(Rugby World Cup 2019)では、南アフリカが優勝を飾り、その5日後にソウェト(Soweto)を通った凱旋パレードでは、チーム史上初の黒人主将を務めたシヤ・コリシ(Siya Kolisi)が、バスの上に立って優勝トロフィーを掲げてみせた。

 わずか数か月前には、1995年大会の優勝メンバーで唯一の黒人選手だったチェスター・ウィリアムス(Chester Williams)氏が、49歳でこの世を去っていたが、日本大会ではコリシだけでなく、「ビースト(野獣)」ことテンダイ・ムタワリラ(Tendai Mtawarira)や、チェスリン・コルビ(Cheslin Kolbe)とマカゾレ・マピンピ(Makazole Mapimpi)の両翼といった複数の黒人選手がチームの主軸を担った。

■リバプール/サッカーイングランド・プレミアリーグ

 6月の欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2018-19)決勝で、クラブ史上6回目の欧州制覇を決めたリバプール(Liverpool FC)のそばには、常にともに歩むサポーターの姿があった。

 マドリードで行われた決勝は、開始2分で微妙な判定のPKがリバプールに与えられた時点で、実質的に決着がついていたのかもしれない。対戦相手のトッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)は、ビルヒル・ファン・ダイク(Virgil Van Dijk)を擁するリバプール守備陣の前に無力だった。

 この大会で最も記憶に残るのは、5月上旬にリバプールの本拠地アンフィールド(Anfield)で行われた準決勝第2戦だろう。第1戦を0-3で落としていたリバプールは、ホームゴール裏の雄たけびのような声援に応え、強豪FCバルセロナ(FC Barcelona)から4-0の勝利を収めた。

■ルイス・ハミルトン/F1

 今季のフォーミュラワン(F1、F1世界選手権)は、2戦を残した11月の米国GP(United States Grand Prix 2019)で、メルセデスAMG(Mercedes AMG)のルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)が通算6回目の年間優勝を悠々と決めた。

 開幕6連勝と好調なスタートを切ったメルセデスで、ハミルトンも4勝を奪取。21歳の新星シャルル・ルクレール(Charles Leclerc)が4戦連続でポールポジションを獲得し、フェラーリ(Ferrari)が速さを見せた時期もあったが、勝ち方を知っていたのはハミルトンだった。結局ハミルトンは、全21レース中11レースで勝利して年間3連覇を飾り、ミハエル・シューマッハ(Michael Schumacher)氏が持つ年間最多7勝まであと一つに迫っている。

■エリウド・キプチョゲ/マラソン

 ケニアのエリウド・キプチョゲ(Eliud Kipchoge)は10月12日、オーストリアのウィーンに作られた特設コースで、史上初となるフルマラソン2時間切りに成功した。レースはそのためだけに入念に準備されたもので、タイムも公式記録とは認められていないが、それでもキプチョゲが象徴的な偉業を達成したことに変わりはない。

 2017年には惜しくも2時間切りを逃したキプチョゲだが、今回は大台を20秒近く突破する1時間59分40秒2を記録し、世界記録も2分近く上回った。しかしこれは、ローテーションを組む多数のペースメーカーと、スピードを設定する先導車に伴われたレースで、他選手と争う大会でもなかったため、公式記録としては認定されず、世界記録は今もキプチョゲが2018年のベルリン・マラソン(45th Berlin Marathon)でマークした2時間1分39秒となっている。