【12月21日 AFP】(更新)米フロリダ州で20日、米航空・宇宙大手ボーイング(Boeing)のカプセル型有人宇宙船「スターライナー(Starliner)」が無人試験飛行のため打ち上げられたが、不具合により国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキングが中止され、地球に帰還することになった。

 今回の試験飛行は、ISSへの人員輸送におけるロシアへの依存からの脱却を目指す米航空宇宙局(NASA)にとって重要な一歩となるはずだった。ボーイングは商業航空部門での安全性をめぐる危機に直面しており、試験失敗により同社の評判はさらに傷つけられた。

 スターライナーは午前6時36分(日本時間午後8時36分)、アトラスV(Atlas V)ロケットの先端部に搭載された状態でフロリダ州ケープカナベラル(Cape Canaveral)から打ち上げられ、15分後に切り離された。

 だがボーイングはその直後、「オフノミナル(異常)投入」が発生したとツイッター(Twitter)に投稿し、軌道投入が計画通りに進まなかったことを示唆。打ち上げを生中継で伝えていた放送は中断された。

 NASAのジム・ブライデンスタイン(Jim Bridenstine)長官は記者らに対し、スターライナーが搭載する時計が正常に同期されていなかったために、「機体が実際とは違う時刻だと思い込んだ」と説明。スターライナーが実際よりも飛行が進んだ段階にあると認識し、燃料を過剰に消費してしまったため、NASAとボーイングはISSとのドッキング中止を強いられた。

 スターライナーは22日午前7時半(日本時間同日午後11時半)ごろにニューメキシコ州の砂漠にあるホワイトサンズ・ミサイル実験場(White Sands Missile Range)に帰還する予定。(c)AFP