【12月4日 AFP】同性愛を嫌悪する発言を繰り返してラグビーオーストラリア代表を追放されたイズラエル・フォラウ(Israel Folau)が、処分を不当として訴えを起こしていた件で、同国ラグビー協会(Rugby Australia)と和解に至ったことが4日に発表された。

 コストのかさむ長期間の法廷闘争を避けるべく、両者は2日間に及ぶ調停に臨んだ末、共同コメントを発表。協会はフォラウに与えた「痛手や損失」を謝罪した。和解の内容は明らかにされておらず、「オーストラリアラグビー協会とフォラウ氏は、お互いの活躍を祈る。和解内容は機密事項のため、どちらもコメントは差し控える」とだけ述べられている。

 この件では、熱心なクリスチャンであるフォラウが、ゲイや自分が罪人とみなす人々には「地獄が待っている」とソーシャルメディアに書き込み、5月に協会との契約を打ち切られた。しかしフォラウは、これが宗教観に基づく解雇を禁じた法律に反すると主張し、1400万豪ドル(約10億円)の損害賠償を求める構えを見せていた。

 これに対し、裁判に敗れれば大きな経済的痛手を被るはずだった協会は、「極めて」不適切な行為に及んだフォラウの解雇は契約上正当な処分だと話し、両者の主張は対立していた。

 共同コメントには、「フォラウ氏からは、性的指向を根拠に差別を行うつもりは全くなく、包括性や多様性を尊重する姿勢を協会と共有している点をすべてのオーストラリア国民に伝えたい」と書かれており、フォラウは宗教上の固い信念を表明しただけで、誰かを傷つけるつもりはなかったという認識が示されている。

 その一方で、オーストラリアラグビー協会とニューサウスウェールズラグビー協会(NSWRU)は、フォラウが投稿した「内容に一切同意しない」とも書かれている。

 発表では、フォラウの選手としての今後については触れられていない。(c)AFP