【12月4日 AFP】中国の裁判所は2日、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)主席や国家発展改革委員会副主任(閣僚級)などを歴任し、少数民族であるウイグル人として最も高い地位にあった政治家の一人、ヌル・ベクリ(Nur Bekri)被告に対し、収賄罪で無期懲役を言い渡した。

 習近平(Xi Jinping)国家主席が共産党内の汚職取り締まりを進める中、ヌル・ベクリ被告の裁判には特に注目が集まっていた。習主席の反腐敗運動をめぐっては、政治目的の粛清だとの批判もある。

 北東部遼寧(Liaoning)省瀋陽(Shenyang)市の中級人民法院(地裁)によると、被告は20年間で7900万元(約12億円)余りに相当する賄賂を受け取ったことを認めた。

 捜査当局は、被告は「ぜいたくに」暮らすことや、自身や家族が利益を得ることを目的に職権を乱用し、高級車を買ったり、他者への利益誘導を行ったりしたと主張した。

 中国版ツイッター(Twitter)「微博(Weibo)」の同法院公式アカウントによれば、被告は法廷で「判決に従い、上訴はしない」と述べた。

 ヌル・ベクリ被告は、経済政策を統括する国家発展改革委員会の副主任としてウイグル人で最も高い政治的地位に就き、直近では国家エネルギー局長を務めていた。

 中国の汚職取り締まり当局は昨年9月、同被告が「党規と法律に対する重大な違反」の調査対象になっていると発表。共産党中央規律検査委員会(CCDI)は今年3月、被告の党籍を剥奪したことを明らかにした。

 中国最高人民法院が公開した写真には、黒い服を着た被告が警官らに連れられ出廷する姿が確認できる。被告はやつれた様子で、昨年3月に撮影された写真に比べ、明らかにやせ細っている。

 ウイグル人が住む新疆ウイグル自治区では、推定100万人に上るイスラム教徒の少数民族出身者が強制収容所に拘束されている。しかし中国政府は、この施設はテロ防止目的の「職業教育センター」だと説明している。(c)AFP