【12月14日 AFP】ベジタリアン向けハンバーガーやソーセージの人気が高まる中、大手食肉会社も代替肉市場に参入し始めている。

 ブラジルの食肉最大手JBSは今年の夏、国内でビート、ニンニク、タマネギを使って肉の味を再現したソイバーガーを発売した。一方、米食肉最大手タイソン・フーズ(Tyson Foods)も6月から、植物由来のたんぱく質と肉、野菜を組み合わせた加工製品を新ブランド「レイズド・アンド・ルーテッド(Raised & Rooted)」で販売している。

 肉の缶詰「スパム(SPAM)」で知られるホーメルフーズ(Hormel Foods)のブランドマネジャーは「私たちの食文化は急速に変化している」と話す。

 代替肉人気が続くのか、一時的な流行で終わるのかにかかわらず、大手食肉業者は機会を逃すわけにはいかないと考えている。これら企業のターゲットはベジタリアンではなく、消費者全体の95%を占める肉を食べる人々だ。

 新たに出現した代替肉製造・販売企業は、代替肉にすることで畜産による二酸化炭素の排出を抑えることができるとしているが、食肉業者が環境問題や動物保護を持ち出すことは難しい。このため、食肉業者らは健康促進を前面に押し出している。

 米鶏肉加工大手パーデュー・ファームズ(Perdue Farms)のマーケティングマネジャー、エリック・クリスチャンソン(Eric Christianson)氏は、「わが社の顧客は肉の消費を減らそうというよりも、野菜をもっと取りたいと考えている」と説明する。

 同社は9月、新ブランド「チキンプラス(Chicken Plus)」を立ち上げ、鶏肉やひよこ豆、カリフラワーを組み合わせた子ども向けナゲットなどの販売を開始した。同社は、子どもに野菜を食べさせるのに最適だとうたうチキンプラスの販売に力を入れており、2020年のマーケティング予算の半分を同ブランドに充てている。