【12月2日 AFP】(一部更新)香港区議会(地方議会)選挙で民主派が圧勝してから1週間が過ぎた1日、香港では黒い服を着たデモ隊数万人が再び街頭に繰り出し、警察が催涙弾や唐辛子スプレーを発射する騒ぎとなった。

 一党独裁の中国政府によって香港の自由が抑圧される懸念の高まりから半年近く続く大規模デモは、区議会選を挟んで小康状態を保っていたが、この日の抗議行動で一時的な休戦が終わった格好となった。デモには子どもも参加していたが、警察は群衆に向かって催涙弾を一斉発射し、またしてもデモ隊と警察の激しい衝突に発展した。

 区議会選の結果を受けて香港政府への圧力を強めたい民主派はこの日、市内3か所でデモを実施。中でも最大規模のデモは、海沿いの尖沙咀(Tsim Sha Tsui)付近で行われ、フェリーや電車で参加者が続々と押し寄せた。

 チェンと姓だけを名乗った学生(20)は、「政府がまだわれわれに耳を貸そうとしないから、抗議は続き、やむことはない」と断言。「何が起きるかを予測するのは難しい。だが、市民はまだ非常に怒っており、変化を求めている」と述べた。

「毋忘初心(初心を忘れるな)」との横断幕を掲げたデモは、平和的に始まった。しかし、デモ隊の一部が密集した警官隊の列に行く手を阻まれると、警察はデモ隊に後退を要求。許可されたルートからはみ出していると警告し、その後、まず唐辛子スプレーが噴射され、続いて催涙弾が複数の場所で使用された。

 警察側は、デモ隊から発煙筒が投げられたため催涙弾を発射したと主張している。

 尖沙咀のデモは日没までに解散したが、その後も一部のデモ参加者は市内各地に移動して抗議行動を続け、警察と衝突。強硬派が親中派とみなした人々や警察を襲撃したり、店舗を略奪したりする様子も見られた。

 これに先立ち日中、市内では米議会が「香港人権・民主主義法」を通過させたことに感謝の意を表する集会が開かれ、規模は小さいながらも人々が米領事館に向かって平和的に行進した。(c)AFP/Jerome TAYLOR / Su Xinqi