【11月30日 AFP】ギリシャで25日、脊髄が損傷しているにもかかわらずクマとしては世界で初めて二輪車を改造した歩行器で動き回ることに成功したとされる雄のウスコ(Usko)が腎不全のために保護施設で死んだことが分かった。職員が29日、明らかにした。ウスコは3年前、母グマを殺されて森の中で1匹でいるところを発見されて保護施設に引き取られていた。

 アテネから北西約600キロのニムファイオ(Nymfaio)にある野生動物の保護施設「アルクトロス(Arcturos)」は、「世界で初めて(二輪歩行器で)動き回ることに成功したクマのウスコが死んだことを、深い悲しみをもってお知らせします」と文書で発表。「ウスコが短い生涯の間に教えてくれたのは…克服できないように思えることがあっても闘い続け、諦めないことの大切さです」と続けている。

 ウスコは2015年、赤ちゃんのときに北マケドニアの森の中で1匹でいるところを発見された。脊髄の損傷によって下半身がまひしており、母グマは銃で射殺されていた。

 施設の職員らは今回、「ウスコには(生存の)見込みはなかったが、世話係と獣医師らがウスコの中に信じられないような生命力と生きる意欲を見て取り、特製の二輪歩行器を作ってやると…ウスコはすぐに乗りこなすようになった」と説明。

 成長に伴い、ウスコは二輪歩行器を3台乗り換え、野生動物がこうした器具を使いこなす数少ない例として世界的に有名になったと述べている。(c)AFP