【11月30日 AFP】イラクのアデル・アブドルマハディ(Adel Abdel Mahdi)首相は29日、イスラム教シーア派(Shiite)の同国最高権威アリ・シスタニ(Ali al-Sistani)師の要請に従い、辞任する意向を表明した。同国では2か月にわたり続く反政府デモで大量の死傷者が出ており、同日も新たな騒乱により十数人が死亡した。

 シスタニ師はこの日、週例の説教で内閣の入れ替えを議会に要求。首相はこれを受け、「私の首相辞任を求める正式な書簡を議会に提出する」との文書を発表した。

 首都バグダッドの主要デモ拠点となっているタハリール広場(Tahrir Square)では歓喜が湧き起こったが、多くの人々は首相の辞任だけでは不十分だと主張。あるデモ参加者は「私たちはあの腐敗した人々が全員辞めるまで広場を離れない」と語った。

 10月上旬に始まった今回のデモは、イラクでここ数十年で起きた中では最大規模で、死者数も最多となっている。AFPの集計によると、バグダッドとシーア派人口の多い南部を合わせた死者数は420人以上、負傷者数は1万5000人に達した。28日には特に激しい騒乱が起き、44人が死亡、1000人近くが負傷。29日もナシリヤ(Nasiriyah)で15人が射殺されたほか、シーア派の聖地ナジャフ(Najaf)で1人が死亡した。(c)AFP