【12月3日 東方新報】近年、中国で「ねずみ講」被害が深刻だ。特に、ねずみ講組織の拠点や被害が集中しているのが、広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)だという。

 中国の経済ニュースサイト「財経網」によると、今年3月にあるSNSがネットユーザーの告発をもとに調査した結果をまとめた「ねずみ講重大災害都市30都市」の中に、防城港(Fangchenggang)、桂林(Guilin)、南寧(Nanning)など広西の6都市が含まれており、全体の5分の1の被害が広西に集中していた。また、この一年でねずみ講に関与したとして取り調べを受けた人は1万3603人で、雲南省(Yunnan)曲靖市(Qujing)、広西チワン族自治区桂林、北海(Beihai)の3地域に集中しており、それぞれ全体の9.8%、9.1%、8.8%だった。

 過去最大のねずみ講事件も広西で発生。2014年4月に一審判決が出た事件は通称「1.18」と呼ばれる組織による犯行で、118人が有罪判決を受けた。このねずみ講組織は関係者が1900人、参加者7300人という大規模なもので、被害は新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)、安徽省(Anhui)、四川省(Sichuan)など17省・自治区に及んだ。

 なぜ広西にねずみ講がはびこるのか。その背景について、「財経網」は地理的特徴を挙げている。ベトナムなど東南アジア国境に近く、中国当局の東南アジア辺境旅行推進政策によって、南寧あたりには中国の地方からきた観光旅行者が多いことが理由の一つという。つまり中国の地方から来て、広西の文化や事情に詳しくない県外の中国人が狙われやすい。事情を知らない県外の人に対して、「北部湾経済圏が西部大開発によって『金融特区』になっている」「少数民族優遇政策を利用して有利に投資ができる」といったニセ情報を吹き込み、巧みに「もうけ話」に引き込むのだという。

 実際、南寧を含む広西北部湾経済圏は国家が保税・物流や金融改革方面で重要な優遇政策を打ち出している。こうした背景に乗じて、「ねずみ講」組織は、少ない投資で高いリターンをうたい、参加者から違法に資金を集め、洗脳によって、家族的な結束をつくり、さらには参加者が背極的に知人や家族を勧誘し組織を拡大し、違法ビジネスに巻き込んでいくのだという。