【4月14日 東方新報】中国・江蘇省(Jiangsu)鎮江市(Zhenjiang)の于(Yu)さん(48)は、出前サービスの配達員になって2年になる。3日午後、于さんはあるスペアリブ料理店の料理配達の注文を受けた。注文したのは江(Jiang)と名乗る女性で、配達先は「随時連絡」。于さんは注文者に確認の電話を入れたが相手は出ない。何かのいたずらかと思ったという。

 すると、注文者は突然、于さんに微信(ウィーチャット、WeChat)の友人申請をしてきた。ウィーチャットのメッセージで、自分がマルチ商法の不法組織に捕えられていることを明かし、警察に通報してほしいと頼んできた。于さんは注文者の江さんに位置情報を発信してもらい、派出所に通報した。

 于さんは警察に通報。警察指示に基づき、江さんとの連絡を取り合った。ウィーチャットを通じて、江さんの位置情報も確認された。

 位置情報に基づき、鎮江市公安局の警官らは30分後に江さんが示した特徴と一致する建物を捜し当て、出前配達員である于さんの協力の下、家の中に踏み込んだ。部屋の中には8人がいた。

「自分が警察に救助を求めた」とその場で名乗り出た者はおらず、警察は全員を派出所に連行した。

 翌日になり、救助を求めた人物が確認された。それが、福建省(Fujian)から来た江さんだった。担当の警官によると、「本人が報復を恐れて、自分が警察を呼んだとは言えなかった」という。

 警察によると、江さん(21)は福建省福州(Fuzhou)出身で、昨年11月にインターネットで知り合った「友人」から仕事があるとだまされて鎮江にやってきた。「友人」は視察だとうたって江さんを鎮江で数日間観光させた後、マルチ商法の勧誘をさせた。

 犯罪グループは、江さんが携帯電話を使うことは禁止しなかったが、1人での外出は許されず、逃げることはできない状況だった。部屋の中の音は筒抜けだったため、警察に通報すればすぐに気づかれると恐れていたという。

 警察に江さんからの情報を提供し、江さんの捜索に協力した配達員の于さんに対しては、警察は何らかの報奨を行うことを検討している。(c)東方新報/AFPBB News