【12月1日 Xinhua News】中国の電子商取引(EC)大手阿里巴巴集団(アリババ・グループ・ホールディング、Alibaba Group Holding)の金融関連会社、螞蟻金融服務(アントフィナンシャル、Ant Financial)が運営する医療共済「相互宝(Xianghubao)」の加入者数が27日時点で1億人を超え、世界最大の医療共済コミュニティーとなった。中国人の13人に1人が相互宝に加入していることになる。上海証券報が伝えた。

 相互宝によると、この1億人は保障を受ける側であると同時に1万人を超える重大疾病患者を救った側でもある。半数近くを1980年代と90年代生まれが占める。

 南開大学(Nankai University)衛生経済・医療保障研究センターが加入者4万2000人を対象に実施した調査によると、10%が相互宝以外の保障を持っていなかった。年収別では、5万元(1元=約16円)以下が30%、5万~10万元が37%。病気になった際に負担できる医療費は、54%が10万元以下と回答。30万元以上は14%未満だった。中国ではがんなどの重大疾病の治療費が平均30万元を超える。

 同センターの朱銘来(Zhu Minglai)主任によると、相互宝の加入者は大半が病気になると生活が困窮する恐れのある中低所得者。朱氏は、低コストで提供される相互宝の登場で庶民が社会保険や基本医療保険(健康保険)以外の選択肢を持てるようになり、中国の多層的医療保障体系がさらに充実したとの見方を示した。

 加入者の居住地は3分の1が農村部、6割近くが地方の中小都市だった。省別では河南省(Henan)、広東省(Guangdong)、山東省(Shandong)、四川省(Sichuan)、湖北省(Hubei)、江蘇省(Jiangsu)、湖南省(Hunan)、安徽省(Anhui)、河北省(Hebei)、浙江省(Zhejiang)の順に多かった。

 これまでに相互宝の保障を受けた1万1928人のうち、49.4%を1980年代と90年代生まれが占めた。疾病別では甲状腺がん、乳がん、肺がん、開頭手術、急性心筋梗塞が多かった。共済金の給付を受けた人の居住地は、河南省、山東省、湖北省、江蘇省、広東省が上位5位を占めた。

 相互宝の加入理由について、76%が「病気になった時のことを考え、保障を増やしたかった」と回答。51.5%が加入後に保険商品を購入して保障をさらに充実させることを検討したと答えた。(c)Xinhua News/AFPBB News