【11月26日 AFP】X線写真は言葉よりも雄弁だ。白黒画像が砕けた骨を写していても、被害者である女性が語ることがめったにない状況ではなおのことだ。

 25日の国連(UN)「女性に対する暴力撤廃の国際デー(International Day for the Elimination of Violence against Women)」に合わせ、イタリア・ミラノのサンカルロボッロメオ病院(San Carlo Borromeo Hospital)では、同病院を受診したドメスティックバイオレンス(DV)の被害者のX線写真が展示されている。

 展示を思い付いたのは、外傷外科医のマリアグラツィア・バンタドーリ(Maria Grazia Vantadori)氏(59)。26年間のキャリアの中で目の当たりにしてきた過酷な現実を、人々に知ってもらいたかったという。

 AFPの取材に応じたバンタドーリ氏は「凄惨(せいさん)な画像を見せたかったわけではない。うそ偽りのない真実を示したかっただけだ」と語った。

 DV被害者の支援を行うイタリアの研究機関「ユーレス(Eures)」によると、同国では2018年、DVによって死亡した女性の数が前年比0.7%増の142人に上った。その数は着実に増え続けていると同研究機関は指摘している。(c)AFP/Alexandria SAGE