【11月26日 AFP】世界反ドーピング機関(WADA)は25日、機関内部のコンプライアンス審査委員会(CRC)がロシア・モスクワの反ドーピング検査所から回収した検査データが改ざんされていたと認定した上で、今後4年間にわたり同国がスポーツの国際大会に出場するのを全面的に禁止するよう勧告したことを明らかにした。

 来年の東京五輪にロシアが参加できなくなる可能性がある衝撃的な提案は、来月9日に仏パリで開かれるWADAの常任理事会で協議されることになっている。

 CRCはさらに、同国による国際スポーツ大会の開催や招致を4年間禁止することも提案しており、サンクトペテルブルク(St. Petersburg)でのサッカー欧州選手権(UEFA Euro 2020)グループステージの開催も危うくなる可能性がある。

 ロシア政府職員による主要スポーツ大会への出席禁止も促している今回の提言が承認された場合、同国はスポーツ仲裁裁判所(CAS)に異議を申し立てることができる。

 CRCは、「多くの悪質な不正」を行ったロシアを不適格と結論付け、その度合いは「極めて深刻」であるとした上で、今回の制裁を提言。ドーピングの温床となっていたモスクワ検査所から1月にWADAに提出された検査データを調べた結果、処分期間を4年間にすることを勧告した。

 ロシアで国家ぐるみのドーピング違反が発覚した後、同国反ドーピング機関(RUSADA)は3年近くにわたり資格停止処分を受けていた。その後WADAは、検査データの全面開示を条件に、物議を醸す中で2018年9月にRUSADAの資格停止処分を解除していた。

 しかしながらWADAによると、提出されたデータは矛盾だらけで、「完全なものでもなければ、全面的に信頼のおけるものでもない」といい、不利と思われる多数の分析結果が除外されていたり、未加工データやPDFファイルが削除されたりしていたという。

 一部のデータが削除されていた時期は、ロシアのドーピングスキャンダルが発覚した2016年か2017年で、ほかの情報に関しても、WADAにデータが提出される直前の2018年12月から今年1月にかけて取り除かれていたとみられている。

 さらには、モスクワ反ドーピング検査所の不正を内部告発した元所長のグリゴリー・ロドチェンコフ(Grigory Rodchenkov)氏がシステムに不正侵入して脅迫の材料にしようとしていたとの陰謀論を裏付けるために、同検査所の何者かがメッセージをねつ造し、それを2018年11月から今年1月の間にデータベースに組み込んでいたことも明らかにされた。(c)AFP