【11月22日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領はウクライナが2016年米大統領選に干渉したとの説を信じていたが、これはロシアが米政治を混乱させるためにでっち上げた「作り話」だった──トランプ氏弾劾の是非をめぐる米下院情報特別委員会の公聴会で21日、米国家安全保障会議(NSC)のフィオナ・ヒル(Fiona Hill)元ロシア担当首席顧問がこう証言した。

 ヒル氏は5日目を迎えた公聴会の席上、「ロシアの国益を促進することがこれほど明らかな政治的動機に基づいた虚偽を広めない」よう共和党議員らに求めた。

 2016年米大統領選に介入したのはロシアではなくウクライナだとする根拠のない説は、トランプ氏が政敵のジョー・バイデン(Joe Biden)前米副大統領を調査するようウクライナに圧力をかけたとされる疑惑の核心を成している。

 ヒル氏によると、この陰謀説はロシア政府がねつ造したものだったが、トランプ氏は信じ込み、さらに顧問弁護士のルドルフ・ジュリアーニ(Rudy Giuliani)氏もこの説を強く支持した。

「これはロシアの治安当局がでっち上げ、拡散した作り話だ」とヒル氏は証言。「こうした虚構は、たとえ純粋に国内政治上の目的のために利用したのだとしても、有害だ」と指摘した。

 ヒル氏をはじめとする米外交政策担当官らは、この誤った説を捨てるようトランプ氏に強く求めたという。公聴会では複数の証言者が、トランプ氏はこの陰謀説に強く固執していたと語っている。

 陰謀説では、米民主党が秘密のコンピューターサーバーをウクライナのサイバーセキュリティー会社「クラウドストライク(Crowdstrike)」の管理下に設置していたとされ、それこそがウクライナによる米大統領選介入の証拠だといわれていた。

 トランプ氏は、7月25日にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領との電話会談で「頼み事」として、「ウクライナ絡みの全局について何が起きたのか調べて欲しい」と発言。クラウドストライクの社名に言及し、「サーバーだ。ウクライナにあると言われている」と述べていた。(c)AFP/Paul HANDLEY(c)AFP/Paul HANDLEY