■「白人は情にもろい」と子どもに悲しげな表情させて撮影

 元宣教師の一人は、ソロモン牧師は欧米で寄付金を集めるために、子どもたちを孤児と偽ることがよくあったと語った。

 10年のうちにICCMの教会支部は200を超えるまでに拡大。宣教師や牧師はナイジェリア南部の各地で活動しているが、資金源となっているのは他国の福音派教会だ。

 元宣教師は、ソロモン牧師は寄付をしてくれそうなところはないかと「いつもインターネットで世界中の教会組織を閲覧していた」と語る。「私たちや子どもたちに対して、悲しそうな顔をするようにと注文をつけ、そうして撮影した写真をよく(他国の教会に)送っていた。白人は情にもろいからと」

 だが、施設の収容人数の急増をもたらしたのは、ベニンシティー北方から1000キロ以上離れた場所で起きたボコ・ハラムの武装蜂起だった。2013年のボコ・ハラムの襲撃で数百万人が家を失い、世界の注目が集まる中で、ソロモン牧師らは、ナイジェリア北東部の紛争地帯の子どもたちに目を向けるようになった。

 ソロモン牧師のスタッフが北部のボルノ(Borno)州マイドゥグリ(Maiduguri)にやって来て、「親たちを説得してベニンシティーに子どもを送らせていた。いい教育を受けさせる、食べ物も無料だと説明して」と話す女性自身も、自分の子ども6人のうち5人をICCMの施設に行かせていた。

 ナイジェリア北部から施設に送られて来た子どもたちは何人いるのか、記録は発表されていない。

 AFPは、数か月前にエド(Edo)州社会問題担当相に就任したマリア・エデコ(Maria Edeko)氏に、ソロモン牧師と彼が運営する施設に対する疑惑について聞いてみた。

 エデコ氏は、ICCMの施設での虐待や劣悪な状況についての国連の報告書も告発も聞いたことがないと回答したが、調査の実施を約束した。(c)AFP/AFP bureau