■ユーチューブで配信

 グリーンフィールドさんは、他人の家の裏庭にある小さな家で暮らした。持ち主がこの試みに賛同し、使っていいと言ってくれたのだ。グリーンフィールドさんは1年間、ユーチューブ(YouTube)で自分の生活を配信していた。

 裏庭を菜園に変え、パパイアやバナナ、サツマイモ、ナス、キュウリ、ピーマンなどを育てた他、オープンエアの台所のようなものを造り、食料や蜂蜜なども保存した。蜂蜜は、蜂の巣から自分で集めたものだ。屋外トイレも自作し、葉っぱをトイレットペーパー代わりにした。夏休みに故郷のウィスコンシン州で過ごした時は、路上で死んでいたシカを見つけた。また塩は海水を煮詰めて作った。

■シンプルライフ

 グリーンフィールドさんが「シンプル」な暮らしを送ると決めたのは、2011年のことだった。それまでは「米国人の典型的な生活」と送っていたと話す。2014年には経営していた市場調査会社もたたんだ。

 最初に人々の注目を集めたのは、2016年のことだった。米国人が膨大な量のごみを出していることへの関心を促すため、自分が出したごみを身にまとって米ニューヨークを歩き回ったのだった。その後、持続可能な暮らしの可能性に注目を集めるため、都会でも自分で育てたり採ったりした食料だけを食べて暮らす試みを開始した。

 講演や本の執筆で生計を立てているが、大抵は無料で講演を引き受けている。昨年11月までの収入は9760ドル(約110万円)、2018年の年収は8000ドル(約87万円)だった。

 取材を受ける機会はかなり多いが、収入の大半はNGOに寄付している。自分の取り組みで金もうけをしたくないと、グリーンフィールドさんは話す。「メッセージを伝えることが重要だ。人々の手助けとなるメッセージを伝えることによって金持ちになるべきではないと思っている」「自分の善意を見失わないような仕組みを創り出した。質素に暮らすことを信条にしている。大金があると、質素に暮らすのは簡単なことではない」

 グリーンフィールドさんの1年間食費ゼロの試みは終わった。次に何をするかはまだ決めていないが、取りあえず世界中を旅する計画だ。(c)AFP/Leila MACOR