【11月10日 AFP】南米ボリビアで4選を目指す現職のエボ・モラレス(Evo Morales)大統領が当選した大統領選(10月20日投票)で不正の疑いが浮上している中、国内の3都市で8日、警察の精鋭部隊が反政府デモに加わった。これを受けて与党は、選挙結果を守るため政府所在地ラパス(La Paz)の通りを占拠するよう支持者に呼び掛け、緊張が高まっている。

 警察の造反は、中部コチャバンバ(Cochabamba)の特殊部隊「UTOP」から始まり、憲法上の首都スクレと野党の牙城である東部サンタクルス(Santa Cruz)の部隊に広がった。

 ボリビア初の先住民族出身の大統領であるモラレス氏は8日、「憲法秩序を損なう暴力集団が始めたクーデターによって、わが国の民主主義が危険にさらされている」とツイッター(Twitter)に投稿。UTOPの造反を非難した。

 現地メディアによると、造反は夜間に他の都市にも拡大したが、ラパスではほとんど起きなかった。 

  しかし、モラレス政権にとって憂慮すべき兆候もある。ここ数週間ラパスの大統領府前にあるムリーリョ広場(Plaza Murillo)を厳重に警備していたUTOP隊員が9日、反政府デモに連帯を示して持ち場を放棄し、UTOP本部に戻ったのをAFP記者が目撃した。現在ムリーリョ広場を警備しているのは、少数の警察官のみとなっている。

 モラレス大統領は9日、議会に議席を持つ野党各党に緊急対話を呼び掛けたが、大統領選に立候補していたカルロス・メサ(Carlos Mesa)元大統領はその提案を即座に拒否した。

 野党の指導者らは、警察の造反に軍も続くよう呼び掛けている。ハビエル・エデゥアルド・サバレタ・ロペス(Javier Eduardo Zavaleta Lopez)国防相は、警察を鎮圧するため軍を送る計画はないと述べた。(c)AFP/Francisco JARA