【11月3日 AFP】南米ボリビアで先月実施された大統領選に不正の疑いが浮上する中、開票監査を担う米州機構(OAS)の選挙監視団トップが1日、電撃辞任した。現職のエボ・モラレス(Evo Morales)大統領が4選を決めた大統領選をめぐっては、これに抗議する暴動が発生。死者が出る事態となっており、選挙結果の先行きはさらに不透明になった。

 電撃辞任したのは、監視団を率いていたメキシコ人のアルトゥーロ・エスピノサ(Arturo Espinosa)氏。物議を醸した大統領選の開票監査を開始して、わずか1日での辞任表明となった。エスピノサ氏はツイッター(Twitter)への投稿で、「監査の公平さが損なわれないよう、手を引くことを決めた」と説明。「ボリビアの選挙プロセスに関して、OASにこれまでの公式見解を報告しておくべきだった」と付け加えた。OASの報道官もAFPに対し、エスピノサ氏の辞任を認めた。

 エスピノサ氏は直近の2週間、メキシコのニュースサイトにボリビア選挙に関する記事を2本寄稿しているが、このうち大統領選後に公開された記事は、選挙の透明性を疑問視する内容だった。

■決選投票の見込みが一転、モラレス氏勝利に

 10月20日に投票が行われた大統領選は当初、現職のモラレス氏とカルロス・メサ(Carlos Mesa)元大統領の決選投票になるとみられていた。しかし翌21日に発表された開票結果は、モラレス氏の得票率が決選投票を必要としない10ポイント差でメサ氏を上回るものとなっていた。得票率が突然、モラレス氏有利に転じた説明もないまま、ボリビアの最高選挙裁判所(TSE)は今月1日、この大統領選結果を承認した。

 これについてメサ氏は、これこそモラレス氏が「不正」を働き「国際社会の誠意を侵害」した証拠にほかならないと述べ、TSEの開票結果を非難。TSEの開票結果を無効としなければ、OASの開票監査には参加できないと協力を拒否している。(c)AFP