【10月28日 AFP】ミャンマーから逃れてきたイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)をめぐり、多数のロヒンギャがベンガル湾(Bay of Bengal)に浮かぶ島へ移住する用意ができているとするバングラデシュ政府の主張に対し、国際的な人権団体が25日、疑問の声を上げた。この島をめぐっては、自然災害を受けやすいなどの指摘がある。

 政府当局は6000~7000人の難民が11月に開始される島への移住に前向きな意思を示していると話していた。

 ミャンマーとの国境に近いコックスバザール(Cox’s Bazaar)にある複数のキャンプには、100万人近いロヒンギャが過密状態の中で暮らしている。このため、バングラデシュ政府は以前から、沈泥によって形成された島「ブハシャンチャール(Bhashan Char)」に約10万人を移住させたいと考えていた。

 ロヒンギャをめぐっては2017年8月、ミャンマー軍の弾圧に直面して既に約74万人の難民がミャンマーを逃れ、既にコックスバザールのテント村で暮らしていた20万人に合流した。

 しかし、米国に本拠を置く人権団体フォーティファイ・ライツ(Fortify Rights)は、3か所の難民キャンプで移住を希望しているとされる難民のリストに名を連ねている人ら計14人に話を聞いたところ、誰も移住を打診されたことはなく、また「全員が反対していた」という。

 同団体によると、リスト上に名前がある女性は「もしバングラデシュ政府が島に行くことを私に強いるなら、このキャンプで毒を飲んで自殺する。向こうにはいかない。誰も私がリストに載っているとは言わなかった」と話したという。

 同団体の代表であるマシュー・スミス(Matthew Smith)氏は「この島は難民らにとって持続的な解決策とはなり得ないし、ロヒンギャの人々自身よりも、そのことが分かっている者はいない」と語った。

 その他の複数の人権団体も、本土から船で3時間ほどかかり、繰り返し壊滅的な被害をもたらすサイクロンが直撃するこの島に難民を移住させることについて、懸念を示している。(c)AFP/Shafiqul ALAM