バングラのロヒンギャ難民、20年前に出現した島への移住に一部が同意
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【10月20日 AFP】ミャンマーから逃れ、バングラデシュ南部コックスバザール(Cox’s Bazaar)の難民キャンプで暮らす多数のイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)が、ベンガル湾(Bay of Bengal)に浮かぶ島への移住に同意した。バングラデシュの当局者が20日、AFPに明らかにした。一方でこの島については、洪水の恐れが高いとの懸念もある。
ミャンマーとの国境に近いコックスバザールにある複数のキャンプには、100万人近いロヒンギャが過密状態の中で暮らしている。このため、バングラデシュ政府は以前から、沈泥によって形成された島「ブハシャンチャール(Bhashan Char)」に約10万人を移住させたいと考えていた。
ロヒンギャをめぐっては2017年8月、ミャンマー軍の弾圧に直面して既に約74万人の難民がミャンマーを逃れ、既にコックスバザールのテント村で暮らしていた20万人に合流した。
バングラデシュ政府の難民担当官であるマハブブ・アラム(Mahbub Alam)氏はAFPに対し、ロヒンギャ難民の移住を管轄する当局者を数日内にも同島に配置すると説明。「約6000~7000人の難民が既にブハシャンチャール島への移住に前向きな意思を示している」と話し、「その数は増えている」と述べた。
アラム氏は移住の時期には触れなかったが、同島で施設の建設に関与する海軍幹部は、12月までには移住を開始することが可能だとし、毎日約500人のロヒンギャ難民が移送されると語っている。
アラム氏によると、ロヒンギャの指導者らは、施設や生活環境を視察するため、同島を訪問することになっている。
バングラデシュ政府は昨年から、同国本土から船で1時間ほどの距離にあるブハシャンチャール島にロヒンギャ難民を移住させる計画を立てていた。
だが人権団体などは同島について、わずか20年ほど前に隆起して海面上に現れた脆弱(ぜいじゃく)な島であり、雨期(モンスーン)の暴風雨に持ちこたえられることができない可能性があると警告している。
同島が位置するメグナ(Meghna)川の河口では過去50年にわたり、強力なサイクロンによって数十万人が死亡している。
ロヒンギャ難民の一人で、子ども4人の父親であるヌール・フセイン(Nur Hossain)さん(50)はブハシャンチャール島の施設を撮影した動画が披露された後、同島への移住に同意。フセインさんはAFPに対し、「移ることに同意した。ここのキャンプはとても混んでいる。食料や住居に関する問題がある」と述べた。(c)AFP