【10月28日 AFP】ドイツ東部テューリンゲン(Thuringia)州で27日に実施された州議会選挙は、出口調査によると、移民排斥を掲げる極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が大きく票を伸ばして第2党に躍進した。一方、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相の中道右派キリスト教民主同盟(CDU)は大敗を喫し、第3党に転落した。

 旧東独のテューリンゲンは、急進派の台頭が著しい地域の一つ。公共放送ARDZDFによると、高い人気を誇るボド・ラメロウ(Bodo Ramelow)党首率いる極左の左派党(Die Linke)が30%近い得票率で、第1党の座を獲得。AfDも23%を得票し、2014年の前回選挙から倍以上に議席を伸ばした。

 一方、二大政党は苦戦。メルケル氏のCDUは、1990年の東西ドイツ統一以来最低となる得票率22%に沈み、国政でCDUと大連立を組むドイツ社会民主党(SPD)はわずか8%の得票に終わった。

 ドイツでは、今月9日に東部ハレ(Halle)でネオナチの男が起こしたシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)銃撃事件で2人が死亡したばかりで、反ユダヤ感情を扇動したとしてAfDへの批判は高まっていた。テューリンゲン州の選挙戦は、怒りや非難の応酬、脅迫などが相次ぐ展開となり、CDUのマイク・モーリンク(Mike Mohring)候補は、AfDの地元筆頭候補ビョルン・ヘッケ(Bjoern Hoecke)氏を「ナチス(Nazi)」と称して非難していた。

 ヘッケ氏は、首都ベルリンにある「虐殺された欧州のユダヤ人のための記念碑(Memorial to the Murdered Jews of Europe、通称ホロコースト記念碑)」を「恥ずべき記念碑」と評し、ナチス・ドイツの「人道に対する罪」を忘れまいとするドイツ文化の「180度転換」を提唱している人物。

 批判を浴びる中でのAfD躍進により、得票率1桁のSPDや緑の党などが連立のカギを握る可能性が出ている。(c)AFP