【10月26日 AFP】国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ(John Coates)調整委員長は25日、東京都の小池百合子(Yuriko Koike)知事と会談し、2020年東京五輪期間中の猛暑対策として、マラソンと競歩の開催地を札幌に移す案は決定事項であると明言した。

 コーツ委員長は都民の「深い失望感」は承知しているとした上で、東京都があくまでも開催を主張しようと札幌移転案はすでに決定事項であると説明した。両競技が東京で行われる可能性は残っているか問われると、「東京都の意向は関係なく、意思決定されたこと」であるとして、「ノー」と完全否定した。

「こうした事案の決定はIOC理事会に管轄権がある。五輪憲章の下に、IOCには常にアスリートの健康を最優先にする責任がある」

 コーツ委員長はまた、第17回世界陸上ドーハ大会(17th IAAF World Championships in Athletics Doha)において、高温多湿のコンディションにより多くの選手が治療を受けたことが今回の決定につながったといい、「IOCはドーハで起きたことにショックを受けた。東京でもこれと同様の気温や湿度が予想される」とすると、IOCが「アスリートの健康を常に念頭に置いている」ことを強調した。

 競技のスタート時間に関して午前3時を含めた未明にするなどの代替案についても、コーツ委員長は輸送の問題があることや夜間の撮影が困難で実行性に乏しいことから、非現実的であるとの認識を示した。

 その一方で、IOCとして両競技のメダル授与式や、都外で実施される競技のパレードを東京で行うことを提案。今回の決断で生じる経済的損失についても協議していく意向を示し、「何かマイナスの経済的影響があれば、それはわれわれに責務があり、その責務から逃れることはしない」と述べた。

 一方、小池知事は会談に先立ち、札幌移転案に反対の姿勢を示すと同時に、「青天のへきれき」であると驚きを隠せない様子を見せていた。会談後には報道陣に対して、「残念ながら、全員が納得できるような根拠は示されなかった」と語った。(c)AFP/Natsuko FUKUE