【10月23日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領がジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領親子を捜査するようウクライナに圧力をかけたとされる問題で、米国のビル・テイラー(Bill Taylor)駐ウクライナ代理大使は22日、議会で証言し、トランプ氏がウクライナに軍事支援の見返りに政敵であるバイデン氏の捜査を要求していたと述べた。トランプ氏に対する弾劾調査の追い風となる証言だ。

【関連記事】弾劾調査は「リンチ」 トランプ氏投稿に黒人議員ら反発

 民主党議員らは、非公開で行われたテイラー氏の議会証言について、2020年米大統領選に立候補しているバイデン氏をおとしめるためトランプ氏が外国の力を借りようとしたという疑惑を立証する驚くべき内容だったとしている。

 米メディアに即座にリークされた15ページにわたる証言の書面の中でテイラー氏は、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領にどのような圧力がかけられてきたか詳細に説明した。

 テイラー氏によると、トランプ氏はゼレンスキー氏に対し、バイデン氏とその息子ハンター(Hunter Biden)氏がウクライナ国内で犯した汚職について捜査すると発表するよう求めていたという。

 さらにテイラー氏は、ゴードン・ソンドランド(Gordon Sondland)駐欧州連合(EU)大使から「そういった発表が、安全保障分野での支援を含むあらゆる事項を左右する」と聞かされたと証言した。これに加え、ゼレンスキー氏とトランプ氏の会談といった見返りも用意されていたという。

 共和党幹部はこれに対してまだコメントをしていないが、ホワイトハウス(White House)は「極左議員らと、選挙で選ばれていない過激な役人たちの協力による組織的な中傷行為」だとして証言内容を否定。「毎日こんなばかげたことが続き、納税者の時間と金が浪費されている」と非難した。

 米CNNと世論調査会社SSRSが22日に実施した世論調査によると、トランプ大統領退陣を望む人は50%、望まない人は43%だった。

 しかし有権者間の根深い党派対立を反映して、トランプ大統領の弾劾に賛成する人は民主党支持者では87%だった一方、共和党支持者ではわずか6%となっている。(c)AFP/Michael Mathes and Sebastian Smith