【10月18日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領がジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領親子を捜査するようウクライナに圧力をかけたとされる問題で、米国の駐欧州連合(EU)大使が下院で証言し、トランプ氏と同氏の顧問弁護士ルドルフ・ジュリアーニ(Rudy Giuliani)氏が米国内の選挙問題をウクライナ側との会談に持ち込んだと述べた。

 大使の証言は、米国の選挙政治に外国を介入させようとすることにより、大統領が職権を乱用し、選挙法に違反したとの疑惑を裏付ける内容。民主党が進める大統領の弾劾調査を勢いづける新たな材料となった。

 ゴードン・ソンドランド(Gordon Sondland)駐EU大使によると、トランプ大統領は5月、外交官らに対し、米政府とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)新政権との会談にジュリアーニ氏を介入させるよう命じた。

 証言によれば、ジュリアーニ氏はゼレンスキー大統領に圧力をかけ、トランプ大統領の政敵であるバイデン氏と同氏の息子について、ウクライナのエネルギー企業ブリスマ(Burisma)との関係を捜査させることや、2016年米大統領選でウクライナが民主党を支援したとの疑惑の証拠を見つけさせようとした。この疑惑は広く知られているものの、一般的に根拠のない陰謀説と見なされている。

 ソンドランド大使は準備した原稿を読み上げ、「ジュリアーニ氏はトランプ大統領の意向として、汚職対策をめぐる問題をウクライナが捜査するとの公式声明をゼレンスキー大統領から得るよう強調した」と述べた。

 同大使は「ジュリアーニ氏は、大統領にとっての反汚職捜査の2大項目として(民主党全国委員会〈DNC〉のサーバーの件を含む)2016年大統領選と、ブリスマを明示した」と証言。

 さらに「ウクライナに対してバイデン(前)副大統領や息子をめぐる捜査を促す取り組みや、2020年のトランプ大統領再選の運動に直接・間接にウクライナを介入させる取り組みが、ジュリアーニ氏が示した指針に含まれるかもしれないということは、かなり後になってから理解した」と述べた。(c)AFP/Paul HANDLEY