■CEOの去就

 ボーイングは22日、同社の民間航空機部門(BCA)の責任者ケビン・マカリスター(Kevin McAllister)氏を解任した。大物幹部の解任は、同社が危機に陥って以来初めてとなる。

 デニス・マレンバーグ(Dennis Muilenburg)最高経営責任者(CEO)は今月、会長職を解かれたが、CEOの職にはとどまっている。だが、MCASをめぐる新たな事実が判明したことで、マレンバーグ氏のCEO留任を疑問視する声も上がり始めている。

 マレンバーグ氏は今月、事故後初めて開かれる米連邦議会の公聴会に出席する予定だ。

■ボーイングの経済的損失

 ボーイングはこれまでのところ、737MAX型機をめぐる損失は84億ドル(約9100億円)だとしている。一方、バンクオブアメリカ・メリルリンチ(Bank of America Merrill Lynch)のアナリストらは、製造の遅れや制裁金、引き渡しが完了していない航空機の保管料などを考慮すると、損失額は172億ドル(約1兆8700億円)に上ると見積もっている。

 ボーイングが23日発表した第3四半期の決算は、純利益が前年同期比50.6%減の12億ドル(約1300億円)だった。売上高は、737MAX型機の引き渡しが凍結されていることが響き、同20.5%減の200億ドル(約2兆1700億円)となった。

■今後の見通し

 今回の危機で、ボーイングの収益は打撃を受けており、今後しばらくはその状況が続くとみられる。

 しかし、737MAX型機の運航許可が下り、航空機が引き渡され、支払いが行われれば、ボーイングの将来見通しは劇的に改善すると期待されている。

 ボーイングは737MAX型機以外にも、ボーイング787ドリームライナー(787 Dreamliner)やボーイング777などの主力商品があり、航空サービスや軍用機部門も重要な収益の一部となっている。(c)AFP