【10月24日 AFP】米航空宇宙機器大手ボーイング(Boeing)が23日に発表した第3四半期決算は、53%の減益となった。737MAX型機が運航停止となってから7か月が経過したが、同社はいまだ危機的状況にある。最近、737MAX型機をめぐり、同社のパイロットら2人が交わしたテキストメッセージが公表されたことから、問題はさらに広がっている。

■運航停止の理由

 737MAX型機をめぐっては、2018年10月にインドネシアのライオン航空(Lion Air)、今年3月にエチオピア航空(Ethiopian Airlines)の同型機が墜落し、計346人が犠牲となっている。

 予備調査では、どちらの事故も自動失速防止システム(MCAS)がセンサーの誤情報によって作動したため、パイロットが操縦できなくなったと指摘されている。

■パイロットのメッセージ

 米国では現在、737MAX型機に関する多数の捜査が行われている。

 さらに、あるパイロットが2016年11月に同僚に送ったテキストメッセージが公表されたことから、同社は新たな捜査にも直面している。パイロットはこの中でMCASのことを「作動しまくっている」「実にひどい」と評していた。

 ボーイングはこのメッセージの存在を何か月も前から把握しており、米司法省とは今年2月に情報共有した。だが、米連邦航空局(FAA)がその存在を把握したのは先週のことで、同局はボーイングが情報を公開していなかったことを批判している。

■737MAX型機の運命

 航空専門家や金融アナリストの大半は、ボーイングが現在の危機を脱しさえすれば737MAX型機を再び運航できると予想している。だが、それがいつになるかは不透明だ。ボーイングは今年第4四半期には当局から許可が下りると期待しているが、専門家の間では、その可能性は低いとの見方が広がっている。

 ボーイングは今回の危機で、737MAX型機の受注を失ったわけではない。しかし、一部航空会社幹部は、ボーイングの危機対応について批判している。さらにボーイングは、犠牲者の遺族から多数の訴訟を起こされている。

 米当局の捜査によってボーイングが多額の制裁金が科される可能性はあるが、737MAX型機が永遠に運航できないというシナリオは考えにくい。一つには、真の意味での競合がエアバス(Airbus)しかおらず、ボーイングは米国および国際航空業界において影響力を持っているためだ。