【10月22日 AFP】英国で22日、同性婚と人工妊娠中絶に関する権利が北アイルランドにも拡大された。英本土に沿った画期的な動きだが、怒りの声も上がっている。

 英議会は7月、北アイルランドでの中絶解禁を承認し、合法的に中絶医療を受けられるようにするとともに、同性間で婚姻関係や法的に承認されたパートナー関係を結ぶことを認めていた。

 これは、英国の他の地方とおおむね同じ規定を施行するための措置で、北アイルランド議会による修正の期限は10月21日とされた。2017年1月に解散したままとなっていた同議会は21日に一時的に再開されたものの、野党の支持が得られず、英議会が可決した改正案に修正を加えることはできなかった。

 北アイルランド以外のイングランド、ウェールズ、スコットランドでは、すでに中絶と同性婚は合法化されている。

 英国のジュリアン・スミス(Julian Smith)北アイルランド相は英下院で、中絶を禁止する法律は22日午前0時(日本時間同8時)に廃止され、刑事訴追は一時停止されると言明。また、同性間のパートナー関係を認める規定の概要を来年1月13日までに示すと述べ、「これにより、遅くとも2020年のバレンタインデーの週までに一例目の同性間の民事婚が行われる」と説明した。

 北アイルランド議会での審議の出席者は、中絶に反対する民主統一党(DUP)の所属議員がほとんどだった。主要野党シン・フェイン(Sinn Fein)党の議員が欠席する中、北アイルランドの権力分担を定めた法律に基づいて自治政府を発足させることはできず、立法措置は実現しなかった。

 議場を出たDUPのアーリーン・フォスター(Arlene Foster)党首は「とても悲しい日だ」と述べた。「今日という日を祝おうという人たちがいるのは知っている。そんな人たちに『今日という日を悲しみ、これは人間の尊厳と人間の生命を侮辱するものだと信じている私たちのことも考えてほしい』と言いたい」

 シン・フェイン党のミシェル・オニール(Michelle O'Neill)副党首は、DUPが主導した北アイルランド議会の一時再開は「人気取り」で、「政治制度への一般の人の信用をさらに失墜させるだけだ」と述べた。さらに「DUPが初めて議会を開いたのは、私たちの社会の権利の一部分を否定するためだったことを一般の人たちは知っている」と述べ、今回の権利拡大を歓迎した。(c)AFP/Joe STENSON