【10月21日 AFP】香港の林鄭月娥(キャリー・ラム、Carrie Lam)行政長官と警察トップは21日、前日に警察が激化した抗議デモ隊を鎮圧する際、放水銃で青い染料の入った水を浴びせてしまったモスク(イスラム礼拝所)を訪問した。モスク関係者によると、両氏はこの件について謝罪したという。

 警察は20日、香港最大のモスクである九龍清真寺(カオルーンモスク、Kowloon Mosque)の入り口付近に放水。香港在住のイスラム教徒や抗議デモ参加者らの怒りを買った。

 警察は、抗議デモ参加者らを識別するため染料で青くした水を使用する。これによって道路や建物に鮮やかな青色が残る。この青い水には、刺激性の薬品が混ぜられていることも多い。

 20日に撮影された動画には、デモ隊と対峙(たいじ)する放水車が同モスクの前に停車し、一瞬動きを止めたかと思うと、モスク前の道に集まっていた5人ほどの記者らと見物人に向かって放水する様子が捉えられている。

 一行はデモ隊のようには見えないが、2度の放水を浴び、その水の多くがモスクの入り口と階段にかかり、一帯が青く染まった。

 警察は同日、誤ってモスクに放水したと説明したが、謝罪はしなかった。

 翌21日、林鄭氏と盧偉聡(Stephen Lo)警務処処長が大勢の護衛に囲まれながらモスクを訪問。両氏は約20分後にモスクから出てきたが、報道陣には何も語らなかった。

 モスクの代表者らは記者団に対し、両氏は放水について謝罪し、モスク側はそれを受け入れたと明かした。さらに、放水直後に建物を洗浄するために集まった信者らと香港市民に謝意を表した。

 九龍清真寺は19世紀後半に、英国領インド出身のイスラム教徒の兵士らのために建立された。(c)AFP