【10月21日 AFP】2016年米大統領選でドナルド・トランプ(Donald Trump)現大統領に敗北した民主党のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)元国務長官(71)が、2020年の米大統領選へ向けてロシアが民主党内のある候補に第3政党からの出馬をけしかけようとしていると警告した。

 クリントン氏はロシアが注目しているとする民主党候補の名前を挙げなかったが、民主党予備選に立候補しているトゥルシ・ガバード(Tulsi Gabbard)下院議員(38)は18日、ツイッター(Twitter)上でクリントン氏を「戦争屋の女王」と呼ぶなど徹底的に反撃。自分を標的にしたものと認めたも同然だった。

 2020年米大統領選を追う民主党系のポッドキャスト「キャンペーンHQ(Campaign HQ)」のクリントン氏のインタビューは、17日に初回配信された。

 この中でクリントン氏は、ロシアが民主党候補を水面下で支援すれば、次期大統領選で米国の有権者を分裂させ、トランプ氏を再び勝利させることになると示唆。「彼ら(ロシア当局)は民主党予備選を現在戦っている候補に目をつけていると思う。彼女を第3政党の候補に仕立てようとしている」「彼女はロシア人たちのお気に入りだ。彼らは彼女を支援するための膨大な数のサイトやボット、その他の方法を持っている」と述べた。

 ハワイ州選出の民主党下院議員であるガバード氏は、クリントン氏の発言が自分を標的にしたものだと認識。ツイッターでクリントン氏にかみつき、「ありがとう、ヒラリー・クリントン! 戦争屋の女王、汚職の権化、民主党を長年むしばんできた腐敗の象徴であるあなたが、ようやく舞台裏から出てきた」と反撃した。

 さらにガバード氏は、ワシントンのエスタブリッシュメント(既存支配層)の長老の一人であるクリントン氏が、自分の評判を傷つけようとしていると訴え、「企業メディアや軍事機構の中にいる代理人や強力な味方を使うのは、いつものあなたの手口だ。私を脅威だと思っておびえているのだ」とも投稿。「この(民主党)予備選が、あなたと私の戦いであることが明らかになった」「代理人たちの後ろに隠れるのはひきょうだ。選挙戦に直接加わるべきだ」と非難した。

 クリントン氏は大統領選にはもう出馬しないと述べている。一方、ガバード氏の選挙戦は危機的で、乱立する民主党候補の中で1%の支持率しか獲得できていない。

 米メディアの分析によると、ロシア関連の複数のサイトがガバード氏の選挙戦開始をたたえ、2017年にシリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領と会見し物議を醸したガバード氏を擁護する一方、ガバード氏をロシア政府の手先だと述べた人々を攻撃しているという。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は先週、共和党の有力議員らが、ガバード氏に感銘を受けたと述べる言葉を報じた。また極右の陰謀論者マイク・セルノビッチ(Mike Cernovich)氏はガバード氏について「まさにトランピアン(トランプ支持者)のようだ」と述べている。(c)AFP